犠牲的な雨
野ざらしの記憶が孕んだ罪の模様
犠牲的な雨
森羅万象を舐める、艶かしい舌の上で、宗教により、引き裂かれた恋人たち、歯がゆさにゆらぐ葉音が鳴る、静まり返った戦地で、互換される愛の結末やなんやかんやが、やかましくドラマチックに鳴り響くから、なんか美しい涙もこぼれるよね、と抗う私は、途端にひろがる青い空を不吉に感じるような不安感が、安易な考えを引き起こすから、戦争もなくならんもんやね、と。誰かの正義は、誰かにとっては、悪であるし、誰かの悪には、誰かにとっては、正義でもあるしで、わけわからんなりよります、と泣き崩れる儚さにゆらぐ空間に、存在とは、絶えず犠牲的なもんやし、正義とは、汚穢みたいなもんやし、未来を運ぶもんでもあるし、世界を破壊し尽くすような綻びを持ってるもんでもあるわけやから、あたまこんがらがりますし、金輪際かかわらんとってって振られた君が泣き崩れる様子は、世界は完全性を放棄し、完全に破壊されているような様子やし、君が終わるんが、すべての終わりであるんやから、世界なんかあらんことと一緒やで、と楽観的に達観している私は、依然として、何が正しいのかも知らないし、知る気もないしで、無責任やなんやて言われる筋合いもおまへんでってひるがえす瞬間とは、善悪も持ってまへんから、なにかを変換する必要も、返還するもんもおまへんから、関連するもんや、関係するもんなんかが、用いる制度にもつれるわけには、いかんねん。
季節の模様
怠惰な夏祭り、ニヒリズムの蝉が鳴く季節を織り込んだカバンで憎しみを超過させ、普遍的な休日を抑圧するような独善的な正義を運ぶ神輿の大群、あるいは自らの大愚を孕んだ偶像崇拝の夜に腰掛け、アンニュイな空に現れる独裁的なヒロイズムにより、国とは終わるのかと、寒暖差のせいで曖昧になる思い出と、承認欲求の彼女たちの独房、あらゆる不潔な男どもの幽霊で裕福になる世界の不思議さに屈折していくのは、子供たちではなく、大人たちなのであり、その屈折した大人たちが、子供たちを抑圧するから、子供たちは真面目なふりをして、従うふりをしては、狂ったふりをしながら、本当に狂ってしまう。罪の数々は自ら呼吸して、ココア色した恋心などと混ざり、意識するほどに謎を深める。唸る呼吸、カタトニーと蝕む陽気の数々、進路をせばめるジレンマと、世界の空白にはめ込まれる無残な喜悦、仮想世界での守備的な人々の墓地、端末に書き込まれた黒い影の体重、現生をぬいで、加速する現実と、暗澹としたほほえみの郵送を続け、懈怠する面影は、単色にあえいで、禁断の旅にでかけ、けたたましく鳴くたましいが、奪い合う真実などを詰め込んだカバンで、限りある命を煽る独善的な過去、呼吸も忘れ、制限を破棄した僕らの統合性などを確立した文明に反し、君が参ずるあいだに消費される愛などが雲散霧消し、無垢なほどに重なる思いは、互いをいじめぬくだけに屠られる身体を他者を介して傍観するような乖離した間柄から、報じられる愛を交換し続けるだけの堕落した世界に合計される罪のひずみでは、リズミカルな者だけが、何ものにも消費されずに、飛翔し続けるのだ。
星雲
初夏
マンション、
カーステレオから
ながれる
アンチテーゼがここちよい、
初夏の午後。