昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

黒い夜

魚の皮膚をはがすカラスの集団よ、黒い夜よ、リセットされ、反り返る本質に逆心つのらせるパートタイマーの夜よ、ひとつの契りと、ひとりの夜よ、孤独はやがて風化し、貧寒な身体を刺すような痛みの癒しよ、黒い夜よ、追憶に明かされる裏切りと苛立ちよ、黒い夜よ、おまえは、凍てつく空間の子供が発情するまでの市街戦にでかけ、帰らぬ人になった。あるいは、憤懣をためこみ、革命と嘘を原理にうごめき、夜泣きを繰り返す世界中の殺意が降る夜、懐かしむ母体から聞こえるカーステレオ。コンフューズの根幹と震える鼓動。短絡的な暴力にそまる思春期のねぐら。深まる夜は、決して秩序を持たぬのだと、途端に挫折する筋肉の破れた音が木霊し、空間に孕む声とシンクロし、肉と宇宙が混ざり合う、と真理になる、と謳う原理に心身を移し、空虚な身体を軒下に捨てる。混ざり合うアンテナが受信する意識などが電波に乗り、宇宙を浄化させる。些細な夜は、猥雑な暗さを安易に放ち、隔離された真実の中で儚い夢を打ち砕く。喪失していく観念は、アレルギーを抱え、一過性の痛みに過失を与え、際限なくこじれる憂鬱に背反している。おまえ静かな夜よ、すべての痛みを乗り越えた夜よ、おまえ静かな夜よ、おまえと濃密に結ばれた空疎な時間の夢と戸惑いよ、黒い夜は静かに筋書きを書き換え、ひたす意味に変換する連続を収斂させては、集まり闇により、神を乗り越え、みずからを信用する。静かに結ばれる尊い日々にいびつに群がりながら、幻想的な予感に包まれ、睦まじい彼方に広がる全体主義的な不安感が襲いかかる不安こそが、いちばんの不安なのだと、俯瞰は語るのだ。やがて能動的な夜は終わり、ただれた空間に似つかわしく至るだけの夜を空間に放し、やがて弔われる世界に延長される痛みばかりがシンクロし、絶え間ない痛みだけを瀰漫させ、些細な激情に支配され、最たる意味を喪失し、淡々とした動機に憎しみばかりが芽生えていく。この夜は戒律を持たない限度を支払わないだけのはらわたを食い散らかすだけの仮想現実的コンテンツなのだ、と世紀的な正義は、善悪の判断を求めるだけに止めどない金額が支払われるのだ、と死はカタルシスを促し、印象に動機を求めるだけの夜を空間的に廃絶していくだけの産業的な支配から、芝居的な引力から、発光していく主体が浮きながら、滅び行く世界を傍観するだけのカタルシスを用い、浄化される瞬間に常用されるだけの圧力に抵抗するような鋭い眼光を愛し、強者に負けない強い目こそを信仰すべきなのだ、と捉える矢先に心音のシンフォニーがなびき、なぶられた後からはみ出す痛みを途絶えぬように演奏し続けるからこそ、この乾いた力が界隈になびき、専横されずに、ずっと先々に照らし合わせる答えも持たずに、狂風に打たれ、この状態などは、蓄積される過去から逃げ出すだけの現在に転向していくだけの精神的な依存なのだ、と淘汰された身体が空間から離れ、存在を自己から超越させる間に逍遙し続ける分裂的な過去から支配的な何かと夜との対立と屠殺迫る革命的な夜の語源から、核開発的な中庸を用い、戦争に抵抗する国家的なプロセスや、誓約書ばかりが飛び交う偽装結婚の夜などに動乱していく主体は、接近してくる痛みに排斥される主体にそびえるエゴから、簡素な躍動を終えるだけの建造物的な喪心から、挿入されるだけの性的軋轢に反するコギトエルゴスムから、根底に飢渇するだけの従属する観念に迫るウイルス的な概念と敵意とファシズムがアップされるランダムな過去から固結していくアイロニーから、解体される深夜に迫る暗闇と死を結ぶ恐怖のスパイラルな回覧されるだけの外観に迫る他者の強襲や、猛然と迫る現前にはびこる悪意と孤独からの乖離から、理解を含まぬ凄艶な夜の帳に消え入る本質と改ざんと快楽と現行に攻め入る生命とセンチメンタリズムの理想郷から、強行突破していく突貫工事から、肯定的な論理に争議を繰り返すだけの嫉妬心や、深層をなぶる精神的な痛みに気圧を掛け合わせた呪詛や、幽遠にはびこる原理的な終焉から、沛然な主観に攻め入る動機を批判的に乗り越え、半壊していく苦悩から、過去と呼吸法と寛容な実態や、カタトニーが乱立する半径に羽交い締めにされ、均等に緊張を押させるための防衛戦が始まりを告げ、打ち込まれる鎮静剤の音で目覚める夜がふかぶかと挨拶を繰り返し、翻す裏側で道理を赤く染めるだけの革命に移行する原理にすれ違うだけの痛みに慟哭する君たち動物たちの気配よ!! この終わり無い黒い夜の賛美歌にぬれる梅雨空の愚鈍で鈍感なエレジーよ、震える貪婪な空に鈍色の清純さが巻き込み、シャウトするほどにほどける高次の意見や、混沌と故実に迫るだけのアンドロメダの記憶や、黒色の呼吸や、初期衝動をパンクに帰依させるような永劫に疎開し続けるだけの孤独にこそ、自由は存在するのだ、このいつまでも清い夜よ。