昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

克己

なににも囚われずに、わずらわしいだけの嫉妬の業火でもだえるよりも、毛玉の海で魚みたいに飛び跳ね、現れる波形に経過していく意識の濁流にのまれては、何億回も繰り返し義務的なものに反し、のらりくらりと逃げまどう。イメージの瘤にたまる血、アスファルトの焦げた匂いに映し出される物々しさが充填され、言葉の影からあふれる楽しさの模様や、快楽的なやましさを示唆し、支配的な椅子に座り、わずらわしい価値を提示するような所以になぶられ、あるいは、ずぶ濡れになりながら、ひらがなの幼児性や、ざくろの中で耽美にまじわる汗や、悠揚にまつわる日々が、苦悩をかき消し、軽薄な夜に契りをかわし、蜜月へと至るまでの奇跡を積み上げ、みすぼらしくても、ラストは素敵なものであるし、何かに適応しようとすればするほどに、すばらしさとは、今を奪うだけに至るし、誰かが用いる責任などによって、美しい寂寞はうばわれるだけであるし、堕落しても尚、美しい波形を用いて、よろこばしい日々を歩いて、からからに乾いても、肩で風を切って、機械的な赤ん坊たちがうごめく、代償の春や、躍動する真理が、やがて正論すらも用いずに、スラスラとうそぶく連中を蹴散らし、構築する闇や、幸福を謳うほどに、この正義というものは、非道なものに変わるのであり、浪費されるだけの精神は、自らを破棄するために、世界にすり寄り、幼稚な理屈をたずさえ、自らの普遍性によって破滅し、破綻するだけに至る精神の模様に陰気にリンクする夜を越えて、完成された朝を突き抜け、倦怠感を弾き鳴らす今を超克する。