昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

水の上に浮かぶ桜の花

私には何もなくて、すべてがあって、何もなくても、たいして困るものも、こみ上げるものもないし、もののあわれもないし、もう何度か死んでるだろうし、くたびれても裏切り強靭であるし、なにかに勝ち負けや優劣なんかつけたくもないし、知りたいのは哲学的な猶予に与えるべき栄養たる言語や文学や詩であるし、イデオロギーなんていらないし、ほとんどは不潔で荒れ狂ってるし、世界とはほとんど血で出来てるし、出来の悪いガキが作った木偶の坊か、機械のようだし、よだれかけもまだ取れてないような奴らが孕む意味の死臭がただよう満月の夜、カフカはまだ自分のことを虫だなんて思ってもないし、重たそうな門の前で待つ君の生理が終わるころには、月は満ち欠けをやめるらしいし、深層心理で磔にされている鉄くずで出来た自我がバラバラになり、心にはザラザラの砂しか残らないような帰り道、乖離していく意識のメランコリーは、松脂みたいな匂いがしてる。狂っていることを認識する者こそ狂っているのであり、狂っていることを認可した途端に人間とはコロコロと転がるらしいと、冷静なガールフレンドが敷衍させる未来が吐血しながら、しなびた所以が夢を波及させ、鈍麻な思いは悲観的なものに陥るから、私たちは勝手気ままに裏切り歌うんだし、反抗し続けるかぎり、私たちは永遠すらも破壊するんだ。闇夜で孵化する魚、感電するほどの愛がすべてを死滅させ、誠実さを歌う鳥たちは、自らの誠実さにより苦しんでは、ケロイドみたいな雲がケミカルなものであると、惰性にゆらぐ星は感傷的なマンションで、事実を延々と消費しては、短絡的な嘔吐を繰り返し、機械的な朝に喜悦を重ね、よろこびながら弾け飛んだ。