昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

匂い

辛さ隠して走り去る君、秘密の手帳に書き殴る悩みの香り、すべてを濾過して巻き戻す順序、どこに行ったって、埋められない距離や、運命に反することもできずに順応するなんてことはもうしないで、申し訳程度の賃金で濡れる明日、蓄積する苦悩の順路、荒野では咲かない花が地中でぬくもり探して、はためくだけの枯れた木、覚醒すべきなのに素知らぬ顔して、青臭く感傷的な悠遠をたどり、大地では華々しく咲く話、言葉は邪魔だから眺める空に並べられた不安なんてものは、身体にあずけずに、すべて分散するようにと空気のような関係、完全性がじりじりと迫り、うとましい季節の変わり目、街路で寝そべる音符や、分離する道の先の車、ネオンがきらめいて風邪ひいた夜、寄りかかるよりも速く過ぎ去るだけの時間は、巻き戻す必要もなければ、焼き直す必要もないから、筆圧厚く、ふてぶてしく迫る明日も愛せなくても、どうしようもないことばかりが飾られたベランダ、堕落しても良いし、何もしなくても暖かい日差しが循環し、身体は何か自分のものでないように感じても進む足が重くても、思いに捕まえられないように優しく撫でる風。