昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

真実の夜

みんな砕けた夜、保存された街に、燃やされた髪、ちぎれた皮膚や、約束をメモした紙が散乱する意識上の住まい、未熟な彼らが想起する権力的なものを刷り込まれた答えの中で束縛される私たちがヒリつく春、はびこる悪意を抽出するスポイト、延々と再開される恋の結末、無数の意識が儀式的に昇華され、宗教的なニュアンスの中で散る君、意味もなく彷徨う街は、黒いマスクで覆われて、価値観というウイルスに支配され、芝居じみた闘争に隠れている政治的なものの道化として生きるよりも、言い訳がましく紡ぐ果てに感覚は麻痺して、退廃的な祭りでばらまかれるハイになる粉や、騎兵隊が闊歩する山岳地帯の雪景色や、ザラメにまみれたセーターのふわふわした柔らかさは、彼女の柔らかさにふれて、震える身体から流れる血や、擁護されるだけの退屈な週末や、誰ともしゃべらずに楽しむ日々には、歌が似合うし、この怠惰な老化を終わらせるためにロックンロールは存在するわけだし、外ではストレートエッジの若者たちが、クラストしたパンツでポゴタンスしてるし、ポケモンを集める凡庸な人々の指は吸盤で出来ているから、火星人かなんかかんだ、と言葉を話すヘラジカとの会話や、時間をも喪失する空虚な部屋たる涅槃では、カタルシスに至るために犯罪を犯しては、閉じ込められる時間もない空間では、ご飯すらも不必要だし、デタラメな意識を儀式を高揚させ、惨めな日々を昇華させるために、ためらわずにモッシュし続けるクラブの地下での熱気や、ストーンするビートの裏側では、バビロンを破壊するほどの重低音がうながす物語が抱擁し、次々と子供が生まれるから嬉しいし、失うものもないし、瞬く間に力は流用され、誰かを押し流し、力は力を抑えつけることはできずに、自らの力に押し流されていく。このイカれた世界での一番の愛を決めるために答え合わせするような恋愛なんて、ゲームみたいなものだし、そこで問題提起するようでは、愛は愛に利用されて、愛という領土から抜け出せずに、愛に線引きして、そこで国家を形成して、個人的なものから抜け出せずに、愛を広域化し、共同化しない限りは、うわべの契約に支配されるだけに終えるような愛は愛ですらないような温もりある銀河を彷徨い、外宇宙で泡沫の論理をチクチクと縫い合わせては、しあわせなんてものは、ここにあるにもかかわらず、すぐに見失ってしまうものだし、惰性で精査しては、すぐさま幻になるものである。