昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

朝の匂い

思い出も潰えた爽やかな朝、嫋やかな愛を紡いで、野菜で出来た道を越えて、理論武装した人々の文言が降る未開発な町でノスタルジーの灰汁をすくい、人々をカットアップしては、失意を攪拌させた小説に閉じ込める雨に濡れ、二度とない今日が恐怖を生み出して、復古する面影からエクソダスする空の青さに震える猫が咥えたエビが跳ねる角度にこそ、宇宙の秘密の確信に迫る答えが詰まっているのか、と砂糖いっぱいのコーヒーの上を泳ぐ羽虫の後少しの命も、宇宙がはじまってから重ねた時間も、違いなんてなくて、実際は同じような時間の中で似たようなものを繰り返し演じ、同じようなことを繰り返してきただけに過ぎない日々から乖離していく瞬間を循環し、瀰漫していく不満足なんかを飛び越えるためだけに、麝香を嗅いで、遥か無知なゆえに溶解するためのスベスベとした世代間の悩み事なんかを解決するために高速回転する右脳が世界なんかにすがることなく、言葉もなくして、めり込む意味や罪が歯痒く折り重なる歴戦の罪や、意味と力学や、吐瀉するために食う彼女の空疎なこころが、巨大な宇宙のようで、ここで空虚に進行してくる痛みのような痒みに耐えるほどに、食い続けては、嘔吐する喉元の快楽が忘れられず、食べることにより滑る快楽と、吐き出すことに詰まるように埋まるこころが膿を吐き出すかのようになぞる快楽との交わりにより、やっと生きていることを認識し、自らを認知するために彼女は食い散らかし、吐き続けるという反復により、反芻する今を分裂させ、現実などはいらないから、と噛み砕く明日が涙で見えない、と君が暗い部屋で荘厳にかき鳴らす轟音がなびく夜。この朦朧とする意識をこねて作り出したパンを食べる朝、太った電車に乗って、くたびれた会社で勤しむ君の背中の多頭飼いしている犬たちがうながす雷雲、降り注ぐ雷に撃ち抜かれた私は、何も真実などないからこそ、このような世界を愛することが出来るのか、と認識する先に曖昧にぶつかる波が消え、泡立つ海面をながめながら、羽ばたく意識は超越し、離れ離れでも、別れたとしても、その先では何回も邂逅して、何事にも囚われずに、君と何度でも出会ったり別れたりしたい。