昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ


 記憶の奥底で沈殿していく意識が、物語の飢えをしのぎながら、倦怠感をかかえた浪費家たちが踊るだけの世界で窮屈そうにあえぐ二人の貪婪で鈍麻な欠片を集め、延々と蜃気楼を徘徊する原理的な指導者が献身的な影をときはなつまでの帰路から、打算的な夫婦がみすぼらしい世界を形成し、明晰な厭世観から、軽薄な仮説を謳いながら、高らかに屠られる感情が無住の時に消え、形跡をたどるためにおりこまれる世界に送り込まれ、往往に現れるだけの宿命なんてものは、簡単に消費されるために現れる簡素な瞬間の幽霊として存在するだけだ、とつぶさにうながす感動的な乖離から、回避できずに衝突しあう彼らの戦争や、緩慢な差異から謳われるだけの道理にみちびかれるために処刑された人々にイコールしていく値が退廃的にぶつかりながら、瞬間に機影をのこし上空を旋回する爆撃機のノイズが、ノスタルジックな実感をさずける夏の終わりに虫生の時に修繕される空の端にからまる君の恋心も、行為にひずむ論理的な衝動にこしかける星々との別れから、回線を混濁させるための暗黒物質にまざるキスの味や、愛児たちがひざまずくコードから、神たちの主観にかさなる酒の席から、接続される観念論を超えて、堅実に挿入される官能的な安寧から、故実家が示す美徳から、収斂される先で生命が神々しくまざるためだけに、このいのちとは、瞬間をさまよう孤舟のように、停泊する一部始終を終えるためだけに遷延する現在とは、制限を持たずに、永遠性をも超えて、いっさいを終えるためだけに燃え尽きる今に疑問すらも持たずに、あたかも永遠にいのちが永続するかのように可能性を秘めては、肥大化する欲望の機械的な歯車として、傲岸不遜に騒々しい世界を形成し、風景を壊すかのように作り上げるような結末にさえずる記憶がスニーカーを脱いで、過信するほどに、改心とは遠ざかり、惰性にみちびかれるほどに満ち引きする世界が謳う卑近なものから、問答を繰り返すほどに、答えとは遠ざかり、個体であることに対する疑問すら欺瞞に囲われ、表現をうばわれ、デカダンスな記号を打ち出すボードレールの亡霊や、業火に寄生していく地獄の犬や、淫靡な結末を拡散するために飲み干す神酒から、仁徳を謳うほどに、徳とは遠ざかるものだ、と仏陀が涅槃でカタルシスに至るまでに現れる神との対峙から、対比されるために、このいのちとは、今にためらいを生むのであり、あきらめを待たずに、用いられるものに占領され、占有されるための儀式を終え、二人は、腐敗していくのか、と加算する原理に理想とは、恒久的に混ざり合わずに摩擦を繰り返し、末端から腐りながらも、ただ愛し合ったが故に、そこまでの意味を昇華させるために、ただ短絡的な同期を続け、けたたましく鳴り響く終わりの慟哭から、感情をちりばめ、メタファーへと変化する詩的な高尚さが敷衍し、君の実体すらも、認識するほどに意味からは乖離し、存在という不確かさを背負いながら、散漫な形式に吐血を繰り返すリリックの外で、補完されるための答えにおおわれ、暗闇の中でないがしろにされた瞬間を堪能するペシミズムの嗚咽が聞こえ、形成される因果に結末とは、ただ現れるための罪を背負うことにより、自らを時間の中に閉じ込めては、散漫な回答の中で計測されるための意味にかかわり、かかずらうだけに至るのであり、離散していく風景と、一過性の事実が仮象するものを実際にあるものとして混在する風景に備蓄される答えなどをなぞるほどに、なぞなどは深まることもなく、ことばもなく、くたびれた可能世界の中で樹立していくものが、存在をも飲み込み、空間を暗闇に変換し、形成される苦しみの中で結束していく位置的な苦しみから逃れられずに、今に磔にされ、次々に迫る今との対立を深め、終わらぬ闘争から、最終戦争へと移行し、行為は純粋なほどに偏るものであり、行動とは、行為をねじふせるために存在し、そこなうための存在をかかこんだ意識に混濁していくいっさいが黒々としていき、支配される結末から、ここで迎合されるものが蠕動し、散漫な振動から、破砕していく風景のいっさいが同じ位置に帰り着き、そこでの終わりを謳うよりも、そこで織り込まれるものが延々と世界を形成し、確かさを謳いながら、奪い合うための領土を形成し、確かなものすらもないのにもかかわらず、奪うことだけに専念するような世界などは、世界としての機能すら果たせずに、ただ短絡的な破壊に自らをねじ込んでいく。