昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

波及

君の抜けた歯。凡庸なカタルシス、あらゆる悲劇の川がゆるやかに流れて、自然と共鳴する以前に、共通語を探し、パトスが散りばめられた原野を探し、まさぐるすべては通過儀礼をふくんだ、ふくよかな君の腹の中であると、鮮明な過去は、コアを失い、奪われていくだけの想いと、老いぼれていくだけの今日と調和し、鷲掴みにされた心に食い込む君の爪と、バージンを突き抜けていく解放との戯れが強弱をつけながら、なだめる行き先は、不安すらなくて、求めるための幸せもなくて、あらゆる意味を透過し、完成形を求めるよりも、不完全をとがめるよりも、ただあるものもなく、ないものもないような感覚だけが敷衍し、壊死するだけの細胞に反り返る大木をながめ、意識は絶えず流浪し、朗々と尽き果てる先々で、対立がふくませた大量の汚穢を翻し、貧寒な理想を積み上げた誇大妄想たる資本主義を超えて、荒々しくも美しい瞬間に鎮座し、動いても、動かなくても、持ち出された時間という概念から離れ、隆々とあふれてくるものを汲み取り、静謐にゆだねる呼吸とシンクロし、死を乗り越え、快活な生へと逃避行する。