昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

燃ゆる月

儀式的な世界が謳う御涙頂戴なもの、時代とそこで呼ばれる時代に左右されるだけの物事と人々の最中、マスクで蒸れた鼻に吹出物がひとつ寂しげに咲いておる。生きるために必要なもののどれもが、宣伝的に付きまとうから五月蝿いのだ、とミニマリズムに震えている彼女たちの依存的な愛の配下になんかなりたくもないから、この身体を捨てて、来世にでも旅立ちたい昨今、現実味も失われて、老いた後に失われた数十年を回想するような生き方などはしたくもないし、する気もないから、依然としてカートコベインみたいに、燃え尽きたい症候群にゆれる思春期の毛色をながめて、夏も終わる。夏が溶かした標識の群れ、誰もが帰り道を忘れているから、いつまでたっても孤独なままだし、ひさしぶりに北枕で寝たら、違う磁力で、頭がぐるぐるして寝付けないし、猫は夜泣きして、甘えてくるし、犬は隣で毛布にくるまり、スヤスヤ眠ってるし、便所が壊れてるから、バケツに残り湯を組んでいちいち手で流さなくてはいけないし、季節的な貰い物によって、頭の中はキリキリ軋む。無作為に迫る物語が誘う白昼夢、自らの内で孕ませたものが幾重にも折り畳まれ、禍々しいものを積み重ねては、延々とかさばる所以を取り損ねる。競うだけの世界から逃れて、連綿たる事象などが孕ませたものが、私を産み落としたのか、と寒暖差に陥落し、落胆している人々の一貫性などを操作する政治的な要素に反する。曲学阿世になんか生きられるわけもないから、晦渋なものを叫んでは、自らを苛め倒すようなマゾヒズムが痛快さを運んで、ドキドキワクワクが収容される現代的な情報の監獄から抜け出すべく、無限に加速する精神が支配するものの中での芝居を辞めて、自らの正しさに移行し、行為が用いる虚偽を蹴散らしては、端的な表現で何かを娶るために、亡ぼされた人々がボロボロになりながら続けた儀式を無視して、自らが見出したものだけが、この世界を形成して行くの、だ。