昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

超克

本の中で隆起し、うごめく文字、聡明な光を放つ瞬間的なひらめきの汗、永遠を騙る男の口から生まれるおぼつかない主観、そのようなものの集合体たる宇宙が抱える修羅、あらゆる原理に反発するために産まれた私は、際限なく考えを枝分かれにさせ、嗄声をうながす夢の彼方、散々な現状で認識するものにより、自分との乖離を深め、現実に対し敵愾心を燃やす。求められるほどにとめどなくあふれる理由が流用され、真実とはうやむやになる、と語るような者こそ、真実を利用し、誰かを支配する。そのような伝染する病を繰り返し加速し、流動する欲が全宇宙に波及し、我々は物質であると確かに認識し、この世界とねんごろになる。なかよしこよし、と手をつないでまで、何かと同一化し、自分という存在をあやふやにするまでに恐ろしい自分という存在すら超越できないで、何ができるというのか?誰もが誰かから切り離されたいが故に謳う普遍性こそが、世界自体を偏屈なもので覆わせ、横暴な支配を加速させる。ライカンスロープが徘徊する満月の夜、スリランカ産の紅茶が鼻腔をくすぐり、肉食獣たちが抱えた獣臭さすらかき消すほどのこうばしく深い香りには、一切の不快感は存在しないということを認識する自らに投影すべき事実すらつたなく消え去り、この数秒に受理するものが乱立し、全体を見辛くする。百円橋を越えて隣町にまで敷衍していく意識的な交通、濫觴するもののどれもが意思を奴隷に変えるばかりだし、打算的なシンフォニーがこぼれる論理的な逍遥、都合の良い話ばかりが繰り出される画面上の獣道を進み、性差などはほとんどなくて、今思い返せば、愛したことなどは、一回もなくて、ただ愛しているかのように幻想していただけであるし、愛するという技術すらないのに、何故か愛しているかのように思わされているだけに満たない。良い子そうに写真に写る彼女たちの局部、実体も微かな災いにより妨げられ、存在していることすら不確かなままに今に収容され、存在していたことすらあいまいなままに消滅する。