昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

幽遠

もう誰のことも道具にしない、と誓う彼女の肩が震えているのを見て、あらゆる悲劇の抗体を持った彼らが誰かを陥れようとする世界から逃げ出し、輪廻転生から外れ、自らの殻に閉じ込める。事実の後先を奪うマダニの群れ、元々のエゴで今を縛り付ける君たちの普遍性こそ疑うべきであるのに、今に枷を嵌めてまで飼われる瑣末なアイドルたちが踊り狂う閉塞的な大地、散漫な儀式により供儀として捧げられた君の恒常的な保身、瀕死の街が仰々しく崇める睡魔のようなもの、模倣を繰り返し、加算される物事により精神異常をきたす君の機械的な応答、マニュアル化された人間のモデルとしてあてがわれる幼稚なギミック、制限を生み出すためだけに生まれた身体が錆びてしまい、散々な現実に肥大していく虚しさを押し広げるための醜く幼稚な原理、原因とは永久にむすばれない私たちの最後の愛や、最愛の日や、最悪な今や、野放しにされた名無したちの枯葉剤が降り注ぎ、そこには何も残らなくなってしまった、と嘆く末端の人々の墓地、贖うほどに住みにくくなってしまう自我の中では、絶え間ない怠惰な争いにより、時間などは失われ、そこかしこで諍いを生み出す。転嫁していく怒りの矛先の先っぽに立ち眺める世界、啜る結末の濃厚、あらゆる記念日の波状、裁かれるために並ぶ人々が見つめるスマホ、デスクトップのブルーライト、求めるほどに飢渇する彼女、誰も幸せを知らないから幸せを求めては、今に苦しんでばかりいることには飽き飽きだし、出し抜くことを考えてまで生きるより、適当にふざけて、誰の言うことをこれからもこの先も聞かないようにする。