昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

荘厳な管理下

聡明に時を織り込む君の指先、希望を記号に変えて、それを売るだけで生活にしていることが罪なのだ、と打算的で他愛ない君のロマンスが死滅させる生物や生活たち、価値観などは勘違いが生んだ幻にすぎないし、過ぎたことをいつまでも引き摺るばかりのグルーピーたちが騒ぎ立てるホテル、迎合される真理を引きちぎる大きな手、抵抗を加える先に現れる高尚なさえずり、みごろしにされた君、罪滅ぼしのため人工的な愛をばら撒く焦土、機械的に回転する意識が吐き出す惰性な言葉が雨のように降り注ぎ、未熟な脂肪につつまれたパイみたいな苦しみを引き取るだけの君の虫歯や、心の端々に付着するガム、風葉に和み、子供たちの騒ぐ声でゆれるガラス窓、逍遥するゆびさきのロンド、形式的な悲しみを歌う幼気な君の症状、悠遠を嬲る君の艶笑、この世とは大きな牢屋であるという短絡的な考えに籠絡されるより、この世とは母胎であり、まだまだ幼いが故に、誤りもたくさんあるのであり、強要される理想により脅迫的に答えを引き出す最後の人間たる私の、この命などは瞬間的なものであり、持つも持たぬもなく、ただ過ぎ去ることだけに強度を持ち、あらゆるものはすぐさま朽ちるだけであり、まさぐる痛みの果てに偶像を偶然に愛していただけなのだ、とうなだれている君に手を差し伸べるような悪意に似たようなものが妬ましく迫る。このたまたまの命を跨ぐ小さな足、面影を消し去る消しゴム、散々な現状を愛でるための寛大な心を睨みつける君の心の中の狂騒、手なずけられないために裏切り続ける私の焦燥感と、強風にゆらぐ窓の外の木々、循環する血と、寒気により縮む身体、難儀な道にころがる銀杏、艱難辛苦や、還元されるニセモノの妻たちの理知。