昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

どこに怒りをぶつけていいかわからずに裸足のままで飛び出した君の器用な不機嫌さの付近で差し引きされるものが孕む愛に似たようた妬ましいもの、思春期の女の子たちは、自分の距離すら分からなくなり、互いを愛するように妬み、憎む。慈しむような憎しみのむくみに耐えきれずに、体系化した価値に押し流され、ひとりの女の子は、ひとりの女性へ、と変貌する。意識の外へと旅立つ君、ジュクジュクの傷や、ゾワゾワする背中、何も届かぬところで、誰かの歌声、嬲られた残骸がころがる道理を損なった世界、輪唱される神話より、絶対的な倫理観をたずさえ、分け与えるべく、すべては思想に抑え込まれずに、自らの意思をたずさえ、すべてを明らかにする。誰もが誰かをおとしいれるためだけに働きを加え、幼稚な動機が誰かをおとしめるためだけに携えた言葉が、ことごとくを締め付け、使命感を損なう。どれだけ誰かが苦しんでも、どこか他人事だ、と促す彼らの暗く沈んだ月曜日、ワシらは永遠に生きるんじゃ、と泣き叫ぶ心の中の悪魔を抱えては、応用されるための言葉を破棄して、情報を破棄し、退屈な文字が脳内で加工される前に、自らの意思で今をつんざく。肯定し続ける先にあらゆる苦しみから解放される的なものに騙されずに、ひたすらに加速し、今に取り残されないようにする。ペテン師たちがうながす狂った旋律、理想郷を謳う信仰宗教的な恍惚により翼の名残であった肩甲骨が、また翼となり羽ばたくまでの奇跡を撮るための魚眼レンズ、理性すらもなく征服するために加速するファシズムの足音、利用されるために漁られる後先、君のために働いても、なんの役にもたたないから、と立ち尽くす君の膠着した横顔、悲劇的なものが無限に湧き出てくるデータの泉、赤い服を着た女が待ち続ける暗いだけの空間、搔き毟る世界から溢れる血、君と過ごした永遠よりも深い時間、歪な静謐が歪んで、がんじからめになる日々を縫い付ける太い指、それは母性的な煽りに満ちて、報うよりも速く愛をうながし、うなだれているだけの君の中で、愛を敷衍させてはみるが、受け取る側の余裕や猶予がない限りは、その場凌ぎの愛などは、愛されていることにも気付かずに、ただ際限なく現れる苦痛の道具になり、偶像や偶然を引き連れ、今に硬直してしまい、時代から乖離し、理解にすら至らずに、改心ばかりを謳う独善的なものに毒されてしまう。