昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

素性

ケルアックに起こされる朝、始発の音が常に死に近いように感じられ、ガタゴトうるさい、憂鬱をばたつかせる蝶、猫の後ろ足のバネ、感傷的な犬の看守として過ごした十数年、未熟なのは、この挫けた心であり、豊かさなんかを屠るためのポリティカルを謳う衝動的な雪、袋叩きにされた水商売の男転がり、甘ったるい香水の匂いをまとわりつかせたニセモノの嫁たち、あらゆる奇跡を屈折させて出来たのが私であるし、アルトサックス鳴る夜のケモノであるのも私であるし、私以外は、私ではないことに納得がいかないから、こうして考え書くことしか出来ないのであり、何かを上手いように出来たって、満足いかないから、ねじ伏せてきたのであるし、ここまで生きながらえてきたのは、ただ書きたいが故、というよりも考え感じていることで、すべてを超越できるが故に、ここでこうして、すべてを突っぱねてきたの、だ。憎しみすら過去に変えるような喜び、媚びへつらう人々が強要する正しさなどにねじ伏せられないように、健気に世界を蹴散らし、迎合されるものから遠ざかり、加算される痛みが散漫になり、今に塗り替えられる軌跡や、数多の形跡を消しとばし、完成されない今にも蝕まれるものにより、価値を組み込まれ、誇大妄想に至り、異物感を抱えては、かき乱される今に肥大化する悲哀や、約束を守らずに別れてしまったアナタや、あいまいな進路すらも妨害するような連中や、暗澹とした現状を飛び越えるためのしなやかな筋肉や、機械的な相似や、即席の自由に束縛され、今に補完される思いの互換性を求め、井蛙な時に迫るアナグラムや、偶像や偶然で引き継いだ物語に後続する影や、今に訝り、不恰好なままで飛び出した歪な真実の枷を外し、寸胴な夜を愛して、窮屈な理想から逃れて、今に攪拌され、乖離していくだけの日々に住まう呪いのようなものから解放されるべく、手を差し伸べるような者にすらなれなくとも、スルスルと嘯き逃げ惑い、死に物狂いで生きたいとか、タイトな日々に備わる刹那的な干渉が、ここでの決意を鈍らせるとか、愚鈍で散漫な決意に拘束される前に、前のめりで引きずる身体に齟齬するものを取り外し、とがめられても途端に超越するために鍛え続ける。