昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

しわくちゃの傘

焼き尽くされた喉、抗原検査を越えて、私たちは苦しみの中を、泳ぐ魚のように、束縛されないために、ただ苦しみをさまよっているわけでもなく、言葉を狩るための獣を解き放ったネットワーク上の浄土、楽園はラクシュミーのものである、と独善的な自己愛により楽園とは、良いように書き換えられているだけであるし、あらがうほどに食い込む釣り針にもがく魚である私は、照合される罪を外から貼り付けられた故に、ここで苦しみを複製しながら、しびれる舌や大脳や、脳漿が飛び出て、空っぽになった頭蓋から現れる仕事や、さびれた街で錆び付くだけの機械たるアナタ、アタラクシアに住まう摂理に反してまで、虐げられた理由をほじくり返して、くたびれた同期を続ける機械兵たち、正解を持たぬ白痴たる者たちのスケープゴートとして運ばれる花嫁、はびこる正義を囲うバビロン、寸胴な世紀が貪る余韻を食い散らかすラストシーン、整合性もないから、会話もチグハグになるし、治外法権化した脳内でカスタムされる再現から逃れる先で衝突し、森羅万象に攪拌される猜疑心がダークマターを生み出して、暗闇の中を模索して、まさぐる隙間から光がこぼれて、誰もが清貧の笑顔で、出会いと別れを繰り返すだけの正常さを破棄して、まどろみに消え去る影や埃をぼんやりと眺めて、保身や守るべきものすら放棄して、希望を掴み取る大きな手からこぼれ落ちて、自らを過信したり、落ちこぼれだ、と卑下する必要性もなくて、制度にからまる一部始終が、集約される前に、流れるままに走り去る後ろ姿が滑稽ではあるが、何か自由で、素敵なもののように思う夏の夕暮れ。