昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

夏の縫い目

みんな病んでる、と歌う蝉の夏、治外法権を彷徨う野良犬の悟性をストローでちゅーちゅーと吸い込み、幸運になるおまじないを唱える子供の魔女、デストロイを叫ぶパンクの連中が掲げる拳によって、新たな惑星が誕生するような、そんな日々では、思想なんて過去の遺物であるし、みんな思考停止しているし、屋内を這いずる百足たちの外交を眺め、シリアルナンバーを刻まれた人類のスケープゴートとして運ばれる電気羊、悠々自適な部屋で融解していく真実が、品位もなく迫り、世代間に迫る恨みつらみが逼迫しては、妨げられるだけの命の羅列や、濫觴するものが生涯をコケにして、孤独などに蝕まれずに、哲学的な狂騒に歪むリズミカルな自己が、リリカルに昇華しては、破片や唾液を飛散させ、誰かを傷つけたり、流行病にかけたりするのが、社会だよとは、誰も教えないから、誰もが苦しんでばかりいるんだよ、と嘯きながら、多目的に揶揄されるものを舗装したりして、補完される罪が完売になるまで、がんばるんだよ、と与太話で狂った母の合の子たる君たちのギミックが、ポレエチレンや、塩化ビニールや、セメダインなんかと混ざり合って、固まったりして、社会的な焦燥感なんかを絶えず生み出す暗い雲に乗り、暗い国を飛び越え、ビートニクたちが捕まっている留置所で流れるフュージョンジャズや、吐露する真実が硬質さを損ない、軟弱になる精神に突き刺さるロンギヌスの槍や、凍てついた君の死後硬直と紅茶を飲みながら、ピンクの髪した狂人との会話、乱立する生涯を語る非通知の女、たそがれを磨耗して、セオリーを駆逐するの、と香水かおり、脳内がバグを引き起こして、またがる術と、記憶を聳立させるカオス、垂涎を繰り返すドフネズミの気分で、正義感を排除して、時間から逃れ、能動的に飛び越えるしなやかな足を眺めて、健やかな夏を体現して、刹那を愛することにより、固定観念をぶち壊して、国家的な蟻酸で皮をなめす孤独な山中、犠牲的なコアを破壊するために、私は肥大化する理由を流動させ、世界的な憂鬱の灰汁を掬う。