昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

そのひぐらしのグルメ家

科学的な心臓から生える機械の手、生体認証をなんとか潜り抜け、怪訝そうな研究者が押し付ける火花が出る装置などを見つめるネズミたち、ミスリルで出来たビルの滑らかさや、器官を潜り抜けるマイクロ波を出す虫型の監視ロボや、ラボの周りでは、ラドンにより黄色く盛り上がった周囲、陰湿そうな注射器に入れられたファシズムからの苛立ち、ダットサンに乗り、3番街や、あまたのゴーストタウンを潜り抜け、焦げついたビーチや、チョコレートみたいなアスファルト、キノコのキャンドルや、超出力の三輪車、フライパンの上であらがうベーコンや、ラクシュミや、ファイナライズされていくミュシャの絵の縁に住まう毒虫のような気分で、寄贈される真実の渦にのまれていくような連帯感を孕む私小説の襞の中はまるで、ブラックホールのようだ、と宇宙とは、このように、真実を折り込み折り畳んでは、自分のサイズにまで折り畳まれ、自らをもその場で従属させ、その場で永続する限りの瞬間を、その場を純化させるためだけに、「永遠」と位置付け、その場に居残ることで、少し若返ったり、少し老けたりと、時間自体を破壊し、その場の定理をも破壊するための重力により、自らをも圧壊させるのだ、と科学者が金切り声をあげているころ、どこかの国では鐘のかわりに、ミサイルが飛ぶらしいと噂らしく、奇しくも、そのミサイルが自らの上空をすり抜け、隣家に落ちるころには、民話や童話は死滅して、神話にのまれては、みんなを利用するための金言や箴言に変化し、みんなの銀貨や金貨を奪うのさ。