爪痕
テレビで笑いよる。
だれもが悲しみを
つまはじきにして、
自らを束縛するための
正義を盾にして、
暴力に耽るような、
情報戦から抜け出し、
静謐に世を抓るのです。
典雅にゆらぐ風景、和毛と夏との和解、初々しい雨にぬれる恋、単色にあおぐ不安、完結するジレンマが着たドレス、憎しみと胸骨、反復する独善的な証拠と、消極的な面影がうたう自由から逃れ、寝返りうって、しとねに委ねた堕落したフラクタルな身体との別れから、乾いた涙の跡を這う虫との出会いから、愛した記憶が失った呼吸から、誰かの死は、自分を失う以上に苦しいものであると、自分とは、人工的なものであり、行為をひるがえすこともできずに、白昼夢の中をさまよい、ダリの絵の中で加算される原理的なものをうごめきながら、改ざんされるだけの原理からアニミズムを加速させ、あがめるための神を捏造しては、批判的なケモノの群れでの安心感を求めるがあまりに、自らを醜いケモノに変化させるだけの答えを引き取るような、悲観的なアナクロニズムに至るだけの現況を変えることもできずに、何かを顧みるがあまりに、あいまいな示唆から侵食していく空疎なほころびを超巨大な誇大妄想に変え、加算される苦しみに沁み入る痛みは使命感に変わるはずもなく、ただ自らに課せた罪により、ニヒリズムを肥大化させ、堕ちていく。均整される星との距離、世界は正解を知るはずもないのに、誰かを扇動し、不安や幸せをあおりながら、あいまいにコントロールされるだけの打算的な人々が散々な今を解消するためだけの生贄を生み出し、自らの痛みを昇華するための犠牲を紹介するメディアに情報に、コマーシャルに隷属しながら、安心感を捏造する。
犠牲的な伴侶たち、あらがう精神は、批判的な死から抜け出して、いびつな生を崇めては、永遠的な制度に付着する愛に似たようなものを愛するが故に、自らを苦しめるだけに至るのであり、堕落する精神は、ノマドとして生きられずに、定着して、時間に磔になりながらも、付着する苦しみに反して、耐えることを諦めぬから、ぬくぬくとした苦しみに乖離していく意識は、何かに囚われ続け、自らを憎みながら、長々と迫る苦しみを加配し、退廃的な意識は儀式的な苦しみを加速させ、懐疑的な日常は絶えず闘争を生み、統制するために踏み台にされる者たちの対価や、互いを苦しめるための制度により、ためらわずに苦しめられ続けることから、混沌としていく意識は今から逸脱できずに、出来合いのものを崇めることにより、正常であるかのように示されるものの異常さに気づかぬ限りは、愛により苦しみ、今から逸脱できずに、誰かが信じるもの、つまりは物や意味や位置を崇めるがあまりに、この命は刹那にからまり、自らの苦しみばかりを加速させては、些細な苦しみにより、憎しみばかりを加速させる。あの人たちは、自分たちの正義を盾にして、誰かの聖域を再起動し、自らの正義を復元するために、誰かの正義を踏みにじることには、なんの抵抗もなく、正義を用い、貫くかぎりは、正義とは書き換えられ、今に機械的なルサンチマンにより、憎しみを枷に変え、加算される憎しみは正義を加速させ、今にも正義は憎しみの道具にだけ変わり、偶像ばかりを増幅させ、自分以外のものすべてを道具に変えて、すべてを駆逐していく。