昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

ブヨブヨの朝

優しいだけの奴らはそこら中にウヨウヨしていて、自らの内部で育つ私怨により、優しいそうなフリをし続ける無防備な夢の中、カスタムされた番犬、シリアスなルールをたずさえた火の粉が降る夜には、憐憫など無いのだ、と泣き叫ぶシスターたちの群れ、乳牛に生まれて良かった、と歌う牛たちに感情移入しては、さまざまな思惑の彼方には宇宙との嚮導により、多角的に迫る羽虫たちの荘厳な羽音、あるいは手付かずの思い出を責めあげるサディストたちが、諦観に至らせるために際限なく駆逐される思い出の中で、わずらう思いなどにより、病理的なものを肥大させては、アイロニカルに服従させ、ロジカルな路地裏では、散漫な記憶が枢要な孤独を捕食して、さんざめく記憶のわずかな猶予に寄りかかる老人たちは、怜悧な捕食者により、断続するシーンの中で絶えず生まれる要理により、リリカルなものをパトスに詰め込んでピクニックかなんかに出かけるんだ、とあらゆる疎外感を受け入れたという彼女の希望的観測が降り積もる夜にギシギシと鳴る義体を尻目に、明晰なものなどは、この場で潰えるためだけに、ニヒリズムを通過し、ヒステリックに日常を切り刻むペシミストたちの骸が転がる淫蕩な主観に崩壊する精神などは放置して、ほとんどはその場で引き伸ばされ、ことごとくのロジックに攪拌され、自らの半径を狭めては、誰かと簡単に同化して、道化みたいに笑うんだ、と嘆く暇もないから、悲観しているよりも速く消え去りたい。掻痒に和む夏、虚飾を打ち砕く拳の美しさ、鬱屈している彼らの孤独な部屋では、対照的な鼓動が延々となびくだけの部屋の中で生じる思いの儚さが破瓜的に消費され、敵意を増して行くだけの孤独から遊離して、誰かを恨むとか、許すという次元からも乖離して、理解に至るとか、至らないまでを通過し、超越し続ける先には、なにが有るとか、無いとかを消費するよりも、なにかを失うとか、譲り受けるとかを超えたあたりには、善悪すらもない。