緑色の陽
星雲
意識は広大で、なににもとがめられずに、とめどなくあふれる思いはよろこびを絶えず敷衍させ、記憶を加速させ、意思に枷をせずに、センチメンタルに耽ることはなく、言葉もなく行き過ぎる時折の苦痛なんてものは、通り過ぎたら忘れてしまえるし、そこで得るものなんて、ただ物質的なものを伴侶に変え、課せられた意味の中でしか働きを加えない愛などは、瞬時に消え去り、そこで思い違いを引き起こし、離れていってしまっても、行き過ぎれば、なんてことはなく、邂逅しても、その時の思いと、昔から引き取った思いとの差異に苦しむだけであるし、あらゆる差異とは埋めるために存在するのではなく、そこであてがわれるのでも、与えられるのでもなく、デリカシーもなく入り込む痛みと混濁の後に残るのは、絶対的な孤独であるし、その虚空をさまよう君は、季節的なものに苦しめられながらも、進む姿は美しく、鬱陶しくまとわりつく瞬間を循環させ、浄化させるためには、その孤独との対話を深め、たわいないものに逃げずに、立ち向かう先に現れる静けさだけが、今を確かなものに変え、足かせを外し、世界をはじめて見つけ、愛とは至難でもなく、保たれるものでもない。銀河団と衝突するような愛、保持する必要性もない日々に整容されるものも遠ざかり、失うものばかりだよと、憂さ晴らしするよりも、世界を憎んで、皮肉を吐き出すよりも、正解に征服されずに、複製される罪を蹴飛ばし、自らの愛を生み出す。
風にあらがう
表現の先の冷めた大地、その先で見つける暖かい感じ、たたずむ思いに詰め寄る感覚は、何かを見つめ、ただ静謐に寄りそう思いは冷静さを保ち、対価をもとめずに、感覚的なもので捉えるやさしさに、言葉は不必要であり、ありのままに降り注ぐ表情は研鑽され、慧眼を用いて、清遊する思いは緩衝し、何かを与えるのではなく、何かを欲することもなく、理とあいまいな質感の先で、境目すら持たずに、もこもことした森で、舌足らずなままに思いを吐き出し、惰性でつむぐものは、今を緩慢なものに変え、もとめられるほどに、その身体は焦燥し、焦熱した心は、さだめることすらできずに、ただ疲れた身体を引きずり、悲観的に見つくろう今が身もだえし、何かが足りないのか、何かが欲しいとか、とうるさくもだえ、トボトボとさまよう思いは、どこかで誰かを見つけ、見境いなく攻め入る感情は、何かを監視するばかりで、バラバラになった思いは、何かを担うほどに、似合わぬものを着込み、呼吸すら不安定だから、カラカラになってしまって、かばい合うほどに、あまりあるものは、リアリティーを消失し、証拠をもとめるあまり、今に疲れ果ててしまい、はしたない思いは、わずらうだけにいたるし、静謐な予言を繰り返し吐き出す真理は、磔にされた希望すらも救えずに、少ない価値で呼び覚ます形は、あたかも形あるもののように見えるだけで、そこに保たれるものには、答えすらないのである。
大嫌いな鐘の音
拭う
書くように、
行為に及ぶ、
誰もが何をしているかすら
わからぬままに、
忘れられた日々を脱ぐ。