昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

行方

充実した空間たる愛。愛とは超巨大な箱であり、形を持たず、果てもない空間で孤立する聡明な物質であり、ふれるほどに反響する愛は、事実の中で繁栄を続けて、つたないものを運び出すか弱い手が、快活なものを掴み取り、とこしえになびく悠遠にゆらぎ、不自然で、遊蕩な道理にかまける余韻がドラスティックに衝突を続け、追憶で軋む過去から逃れ、健気に走り去るのが愛である。あらゆる阻害物を含んだ空気、窮理に潜む悪魔たち。勇敢に筆する先に現れるのは、疎外されても尚、書き進める先には、創造的な昇華を迎える。互いの呼吸が合わさり、確かな愛を出迎える。真実は、証拠を残すためだけに語られるものであるし、その空間に充満し、重複していくものは、気だるく重たいものばかりであるし、信じるべきを知らずに、願い祈ることはせずに、真実から放たれ、自らの理由に帰り着くまでの距離や過程から逃れて、献身的に命を加速させる。結末にこびりつく体制的な気配。背景には黒く濁った愛。縛られるだけの運命を破棄し、メカニカルなものが迫り、心が軽薄なものに隔てられるよりも速く走り去る。死は隠されていく。単純なものに覆われ、過ぎるのを静かに待ちながら、長らく攪拌され、何事も無かったかのようにして、死は静謐に物事をくぐり、死は季節を誘致し、自らの静寂に包まれる。愛を補完する余韻や、逸脱する感性が今を巻き込み、軽薄さに迫害されながら、定める意味も喪失しても、愛は悠揚に漂う。