昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

突き抜ける思い

音がない思い出を泳ぎ回る魚のような気分だ、と彼女のうつろな目から溢れる涙はダイヤモンドだから、必死にかき集めている継母たちの畜生道を歩く屈折した茶髪の子どもの暴力性や、ピアニカを吹きならす政治屋たち、喧騒ではドラマみたいな告白を続ける神を睨む少女や、腐敗臭ただよう街からの風により、ここまで鼻をつんざく饐えた香りが街の情報を伝える。あらゆる悲劇を透過させる夏の太陽、悲劇の軒下からあふるる愛の顛末、この終わりを吸い込む大きな肺、悲愁を描く怪訝な画家の横顔の青、傷口に染みる海水、機嫌の悪そうな木々が立ち並び、紊乱な世界を正そうとすればするほどに、すべてはずれて歪んでしまうのにもかかわらず、必死にこの世界を保とうすればするほどに、廃れていくだけなのに、君たちの歪んだ正義によりがんじがらめになる世界は、誰かを標的にしてまで、自分たちの痛みを解消しようと目論む用途、ルサンチマンを加速してまで、この終わらない憎しみを加速させ、意思に枷を嵌め、世界性を狭め、制約をそこかしこに与え、あてがわれた罪を重複して、そこで服従するだけに至るような複製品として生きることを辞めて、逸脱し続ける先に現れる光り輝くものをこの手に掴むまで、ただひたすらに飛び越え続けることにより怯えを捨て、そこで与えられる影響により、強要されることもなく、また自分こそが正しいなどと思うことの誤りから抜け出し、自由に行き来する意思が歪な観念を超越し、自らの意思だけで忌々しいものを蹴散らす。