破水と防空壕、夜空には香水の雨、理論的な処女と、焦熱していく時間、詩の光とバロキズム、人の世の終わり、夏を締め付けるモノグラム、だいたい一日の終わりになれば、ずっと行き先すらもわからずに、誰かのチャンネルに入り込む特殊な蝉、ミジンコみたいなキャリアケースを引き摺りながら、騙されているだけのキクラゲみたいな髪をしたサラリーマン、むしろ残虐な帰り道の粛清、井蛙な人混みの対立、あらゆる構図を黒く塗るためのマジックペン、幼気な我が子のように手榴弾を抱いて、はつらつとしてカオスと遊ぶ君、雑種のカノンを聞いて、爛れた脳内にリフレインする真相を探る私、その二人の構図こそを、ペンで黒く塗り潰すべきだ、と嘯きながら、チャーハンの香りがする数十年の退屈との邂逅を終え、火脹れした肌を眺めながら、セオリー通りの日々から解き放たれ、悔悟を破棄し、修羅を啜る。バビロンに美味しそうな餡をかけていただく冬の屋台、煮凝りや日本酒や、アルファベットが飛び交う繁華街、昔年や奴隷やサルや狐やドルが羽化する散漫な暗い月曜日、サンドバッグにされた彼の症状、タグ付けされたリズムに、商用的なトレンド、日光を拒否して、暗闇に潜むタイトル、ずぼらは私は、貝のようにあまり家からは出ずに、理論武装しては、はびこる悪意をラジオに投稿しては、意思を統制させ、サリンジャーや肉欲と孤独、デリカシーもなく入り込む給料日の祝福、遠ざかる観念を測ってみても、一向に距離は縮まらないから、一端は距離を置いてみて、何も始まらないであれば、それはそれでよし、と何かが始まるのであれば、それもそれでよし、と。