昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

なだらかな雲

思い出の端、ちぐはぐな廊下、業火の中での静謐、車のクラクション、花火の抜け殻、海岸線の町、刹那をくぐる鳥たちの鼓動。ケバい気配から逃げ出し、惰性な瞬間から逃れ、果たすべき指名すらなく、ないがしろにされ、充足感すらなく、チリチリなる孤独のそばで冷え切った家庭の硬い音がなぶる世界、倦怠感や、浪費をくりかえすために、ためらう余韻にあらがい、眼前に現れた瞬間とは、短絡的なものに蓋閉めて、負担になるばかりの物事に憚りながら、バンバンうなる風の後、隠微な結末をなでる春も風邪ひいて、誰もがもとめるばかりで、誰もが制約や契約の時に隔てられるばかりで、万端な形式に攻め入られ、制限を生み出し、奪い合う時折に横溢する想いが嗚咽している。亡骸になる思い出たち、到達するほどに突き刺さるものの影に隠れて、攪拌される半径から現れる言葉に押しつぶされて、王道なものを蹴散らして、気配すらも隠して、かさぶたになった想いを剥がして、はびこる想いが吹雪いて、瀰漫する動機が儚くなびく。省かれる域から、隠者として育てた思想があふれ、省かれるほどに、ほどこされる動機をも超越し、自らの考えだけで、惰性な瞬間を超えて、世代間をも超え、自らに集約されるものから羽ばたき、弾ける道理は、自らの未熟さに抑圧され、自らの正義の犠牲になり、自らを苦しめ続けるだけであり、万物は変わらないようで変わるのではなく、変わるものすらなく、はじめから、何かは変わろうともせずに、変わるようにと、強制されることに反するほどに、自らを変化させてしまい、自らの手で変わろうとすればするほどに、外からの力で自らを変化させてしまうのだ。