昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

色彩

帰り道、木々はゆれ、ほのかに香る香水が音のように鼻の中でおどる。きみの胸が宇宙みたいに感じられたと、ゆだねる感覚はずっと素敵で、詩的な猶予をそこかしこに孕んで、ランダムな夢の彼方、ゆぶねに浮かぶ産毛、にくらしいアンチテーゼを吐き出す世界の脱色、あらゆる夜はすこし焦げくさく、メタファーがゆれる帰り道、戒律すらなく、仮に戒律があったとしても、その戒律を破ってまで会いに行くよと、星が予感をたずさえ、黒い空で必死にその存在を伝えようとする姿が愛しく、アンニュイな風景はかがやく一瞬とまじわり、途端に退屈なものを昇華させ、抱き合うだけで、どこにもいかなくても、どこにでもいるような感覚にいたらなければ、愛は消費的なままで、依然として終わりへと加速するだけだし、しいたげられた下腹部でおどる感覚は、ずっと先までのびて、確かな愛を結ぶ。きみの優しさには際限がなく、くまなく染み渡り、確かな栄養になる。しずかに深める思いに、筋書きは不必要で、冬に凍りついた思いは、春になったら溶けて、すべて晴れて、瀰漫する思いは不安をかき消し、消えない思いに変える。かけがえのないものとは、ただ物に変わるだけだし、このかすかになびく思いは、永遠を調律し、確かな音程に変え、未熟だった思いは成長し、しずかに堪能する愛は、全体からあふれ、ふれあうほどにほどけ、見捨てない思いは、今にふかまり、離れないようにする。愛は不安を生み出すのではなく、不安を乗り越えるために、必要不可欠なのものであり、不潔なものはなく、名ばかりのものを捨て、寄り合う思いは、体感するよりも速く、くたびれることはなく、確かなものに変える。なにもかも持っていたって愛は枯渇するし、そこでおびえる意味は、そびえるだけの退屈に邪魔され、対価がなんだって、うるさくわめき散らすんだ。