昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

高尚な症状

どうやって飛べているのかも分からない片翼のモンシロチョウ、モンシロチョウからすれば、飛ぶ原理などに囚われず、自らの力で飛んでいるから、飛ぶことに理由すらいらずに、飛ぶということに疑念すらない。考える蝶たる私は、どこかに止まることすら忘れて飛び回る。いびつなネットワークの中毒者たちは、中性子星の中で自らが電磁波の矢や、圧縮される星の内部では、永劫よりも深いものに吸い込まれ、どこでもない場所で冷凍されたり、蒸発したりする自分をなんども、なんどでも繰り返し傍観する。考えるとは、ここまで大幅な逸脱を反復することにより、永遠をも乗り越える。考えるとは超越に至るためにある。シュールレアリズムの機械兵たるダリが描く細い蜘蛛のような足、磔にされた意識の炉心部にたらされる高熱にうなされた子供たちの涎、唾液の川を人の皮で出来たカヌーを漕ぐダリの夢の最深部、あるいはもともとある性的な欲望の彼方から溢れ出るリビドーと涙腺をつなげ、終わらぬよろこびを吐瀉する大きな口を創造するために生み出された彼の手は、まるでタランチュラのようであった、と語るノラの声が響く鼓膜の内側に住まう自我との対立を続けるために、この世界という病にとどまる。蝿の王が仕切るストリート、猿たち悪事が露見し、散漫な儀式を続けるカジノの卑弥呼が祈るあいだに溜まる人々の怒りが理不尽にぶつけられるほどに成長を続ける権力。制限を持たぬ人類の恨み節により建つモノリス、倫理観を感傷的に弾き鳴らすギターの音が天体を破壊するころ、時代的な井蛙者が社会的な正義や犠牲を謳うほどに、世界とは大勢のために腐り狂うのではなく、傲慢な個人が謳うことに扇動された君がすべてを狂わすような思想ならば、捨てるべきであるし、誰かに毒されたような思想で思考停止に至るだけの忌々しい欠如を埋めるための闘争などに参加するほど、人は獣になり、愚かさに気付かずに、煽られるままに行動をすることにだけ、安心感をおぼえる。絶えず迫る災難の跡、憤怒に溺れる若気の至り的な痛みに絶えず侵攻してくる国家的なまやかしと、煽る普遍性の不衛生さにおびえる潔癖で、完全主義的な君の威光により狩られる真実をも潰えさせるために遮られる幼稚な誤り、倒錯する思いが錯雑とした観念を食べ尽くし、すべてが忘我に帰するころには、言葉は過ちを踏み台にして、自画自賛に浸りながら、悲観的な観点が生み出す絶え間ない物事にリンクして、この命に契約や継続なんかをうそぶくあいだに、君たちは敗残するだろうし、私は死に絶えるだろうが、それがどうした、と産声をあげる子供たちのよろこびが波及する。