昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

移ろう命

激しい愛は死んだのだ、と項垂れる老人の背中、哀愁に満ちたウレタンで出来た彼女、傷だらけの猫を赤く染める夕暮れ、希望すらも潰えたのだ、と切れ端を集める彼の慟哭、その切れ端には大切であったろう過去の虚栄が描かれていて、彼を形成していた全てが潰えても尚、世界は継続していくのであり、時間から取り残されても尚、継続されていく世界とは、彼の中では終わっていたとしても、そこで継続されていく世界の中で食い込んでいく自分を助けることは不可能である、と告げるネットの連中の少数派の意見こそが目についてしまい、無意識に正しくあるべきだと洗脳し続けてきたメディアの寸法に収まってしまい、全く自らの意見は無視して、与えられた罪の虜になってしまうだけの堕落した支配から抜け出すために、闘争は絶えないから、と萎える私を踏み台にして、すぐさま若い君は乗り越えて欲しいし、老いた私の意見などはすぐさま書き換え、画期的に勝手気ままに行きすぎて欲しいし、あらゆる無作為なデータに削除されても尚、君は君であることすら否定し、私は私自身を乗り捨てて、廃れた自己や自我にがんじからめになるよりは、ただただ堕落して、誰にも会わずに、泡吹いて、日増しに募る不倶戴天の敵やらと対峙して、またはすぐさま諦めたりしながら、あからさまに与えられた意味に苛立ったりしながら、他人行儀な日々にあたかも生きているような雰囲気を醸し出したりしながら、足りないものを埋めるためだけの怠惰な運命の中で、こうして無我夢中に切り取った、たった数十年の義務的で事務的な日々に別れを告げて、肥大化する悲哀や、貧寒な日々に悲観したりもしながら、舌足らずではあるが、ただひたすらにこうして孤立したいがために孤立し、孤独でありたいがために孤独であり、どこか戯けているし、のどかである今に望むことすらなく、また希望や幸福や愛などを脱ぎ捨て、薄っぺらいねぎらいには唾吐き罵り、殺風景ではあるが、ここでありがたいなどとうつつを抜かすよりも、鬱鬱とし、うつらうつらとしてもいるが、それも私である、と納得し切っている。