昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

亡者

この世の終わりみたいに不機嫌そうな顔をした君の横顔、カーステレオからは、夏の湿気を帯びた靄のような音楽が身体に張り付き、希望すら損ない、今に薄まることがない苦痛を引き延ばすための日々です、と暗そうな文学的な若者が謳う適齢期なんかに騙されるための怠惰な修羅を啜り、侵食してくるダークマターや、ファシズムに染まってきたネットワークでの悪意が荘厳な様子だね、とチクチク痛む心の讒言などが嬲る主観なんかを躊躇わずに燃やす人々の闘争なんかが続いた暖かい日々も終わり、一気に老け込んだ君を抱きしめるための大きな手や、そこで斡旋されるだけの堕落した日々に金を生むための機械として、あらゆる罪を兵器のように扱う人々の骸を集めては、恍惚としているいびつな観念と、ファンダメンタルが云々と基本的なものすら分からぬのに横文字を横柄に突きつける強迫観念で出来た君のデタラメな成熟や静謐なんてものが価値なんかを用いて、誰かを裁くような間に、ロジカルなものを浪費し、猶予すらなくなり、つたないこの命にも制約なんかを突きつけられ、むしばむための意味なんかにあいまいに拘束され、今に空間すらも破壊され、俯瞰で自らを呆然と眺め、メルカリかなんかで売られている違う誰かの身体や心に無理矢理に嵌め込まれた存在の不確かさを憂いながら、そこで膠着するだけの曖昧さを敷衍させ、沸々としてくる怒りを増幅させ、カナリアの毒ガス探知機が知らす検知した毒性が猟奇的に身体をむしばむ間に、加速していく破壊的な呪詛が、すべてを拘束して、全体主義に浸る人々や社会の瘴気から逃げ出し、菌類や齧歯類が踊る森に逃げ込み、終わらない夜に吐瀉する哲学的な強壮剤や、極星が羽化し、やがて流星に変わるまでの時間と距離から解き放たれ、ただ与えられた空間の中では、後悔ばかりが謳われ、根も葉もない噂により磔にされた魔女たちの泣き叫ぶ声には誰も耳を貸さずに、自らの苦しみを調和するためだけに社会が生み出した供犠たちの話は誰も聞こうとはしないで、ただ自らの痛みを癒すかのように誰彼構わずに傷つける。