静寂ではにおいだけが頼りだ。闇に孤立する瞬間に孤独はまたたくまに消え去り、谷閒にひそむ悪意にこころ奪われずに済むようにおまじないをかける必要性も無ければ、何かに悲観するよりも、瞬間を健気に生きようとする動植物や、気だるい山脈から流れるエレジーなどを吸い込む、自然の狂気にうちひしがれ、可憐な我が子を喪失するようなダメージを受けては、日が昇るまで、孤独をさいなむだけのこころをさえぎるような朝日に横溢するような景観だけが、我が身をほろぼすための夜に慟哭した小屋の中でひっそりとむかえる生きた心地としいたげられるために擁立し続ける絶え間ない故実から放たれ、関するほどにわずらわしいものから逃げだものに下される自然からの罪を一斉に受け、きたす物々しさに耽るだけの身体は誰が見ても汚れているだろうし、やがて浪費するだけの主観などは、思想を持つほどに破壊されるだけであるし、ゆっくり流れることほど残酷なものは無いのであるし、打開することもできずに、刻刻と迫る闇から逃げ惑うように、戸惑いを隠すように猟にかける思いは、今日という一日という脅威から逃げ惑い、誰にも捕らえられずに、囚われるのは、死への恐怖であり、生への渇望では無く、ただ滑落する瞬間からなんとか這い上がろうとすればするほどに自然とはただただ残酷な残骸をそこかしこに残し、恐怖のイメージを引き出していくのであるし、やがて果てるこの身体も骨の皮だけになりながらも誰も存在せずに、ただ我だけが刹那に嘆じ、嘆願することも無く、ひたすらに獣のように残り香を追いかけ、緩慢な作用をしみこませた弓や槍で畜生どもに接続される観念を引き裂き、そこで生きた証すらも自らの血肉に変えるのであるし、堕落した都会を捨てるなどと現を抜かす暇も無ければ、そこで生きるということは、どこで生きようが、ここでのさばるものなどは、すたれるものであるし、疲れても尚、ここで求められるものはごく自然なものであり、理屈も無ければ、ここで駆け引きするものは、生きるか、死ぬか、という短絡的な二択であり、理性も途切れ途切れで、自分の「ぜーぜー」と弱く吐き出される悲観的な息の音を聞きそびれては、怯えてふるえた身体を閉じ込めるような瞬間的な空間を加工するような法すらも無ければ、外面ばかりで虚飾でできた街が解き放つ贋物のときめきすらも懐かしく感じるような瞬間的な孤独に覆われながら、闇夜に媒介する破壊的なものが自らをもっと内側から破壊すべきである、と外から迫る自然が語るころには、すべてはうやむやになり、夜に消化されるための獲物として、貧寒な自分を責めるようなセンチメンタリズムなどは自然には存在する必要性すらも無ければ、そこでは制度すらも不潔であるし、不可欠なものは、ただ食べられるか、食べるかだけであり、代償も無ければ、内外に派生する真実に打ちのめされることも無く、ことごとくは、ここで鎮座し沈下し、誓いをたて、何かを垂れることも悪に変わり、加害者を演じ、被害者意識を加速させることも無ければ、内心に迫るものに外貨を支払うことも無いし、言葉も無く、ただ与えられるものを求めるだけのものにおちいることも無く、ここはどこでも無く、誰かでも無い自分をさいなむ暇すらもないでのあり、あらゆる原理とは、理解を求めるばかりで、ここでたたずむ一生に支障を加えるばかりで退屈であり、あらゆる苦痛とは、強調されることで、その痛みを増すのであり、痛みを認識するほどに屈する痛みに興じるだけの痛みなどは、痛みを認識する以前に痛みを破棄し、自らから乖離した辺りで沈積する意識にひずみを与え、リズミカルに消費されるだけの痛みは、他者が感じるような痛みのように感じ、そこで麻痺した実体は、存在すらも消し去るような夜に媒介する獣どものあくどいワルツが鳴り響き、自らの周囲を囲う遠吠えや、すぐそこでパチパチと聞こえる小枝を踏むたびに軋む音が鼓膜を超えて、心臓をばくばくと食べるような爆音を鳴り響かせる心音を立てないようにひたすらに息を潜め、絶対的な独裁者が通り過ぎるのを待つ夜に必要悪すら必要では無いし、灰燼と化することも無く、ただ地に帰る引き替えに、自らの命を肥やすような訓育から感覚すらも遠くで徳などをあざ笑い、ここで必要とされる正義などは存在せずに、犠牲になるか、犠牲を出すかという性悪説的な回答も無く、善悪などは、ここで抹殺され、慢性的な痛みを引き出すだけのスキームが吐き出す好き嫌いで決めた答えなどは、瞬時に消し去られ、そこで存在したことすらも損ないようにとがめられ、等閑な答えなどは、後悔を生み出し、何かを阻み、今を責め立てるだけに比するだけの価値などは森の中では役立たずであるし、あらがうほどに貧相な答えなどは、何かを組み立てるのに役立つだけで、後には何も残らぬような破壊を続け、つたない答えは、償いを求め、何かをもてあそぶための同情を生むためだけに自らを正当化し、防衛本能が生み出す進化を否定し、信用を謳うだけの戦利品を集めるだけの出来合の真実などを崇めるための神すらも、この深い森の中では必要では無い。あるのは、永遠的な孤独であり、あるのは、自らの鼓動が鳴る限りは、孤独であろうが、すべてと同化することを求める必要も無く、ただ現れるものと対峙する先に現れる自らの化身と対峙するような感覚に潜む姦悪を何度も打ち倒すような夜に不快感すらも瞬時に消え去り、うごめくものとの戦いを続ける。