昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

ほころび

木の実が通過の小国、草原では豊かさを求めるための無秩序な戦争が続き、五十年前までは、猛々しい木々が連なり、北風を防いでいてくれたが、延々と続く小競り合いの中で、生活も環境すらも厳しくなってしまった。ことの発端は、植えたからといって、次々に生み出されるわけではない珍しい木の実を奪い合うための政府と市民の闘争が拡大し、終わらない欲と憎悪が敷衍し、やがては森を焼き尽くすほどの戦争へと発展した。テクノロジーを否定してまで、自らの自然を保とうと必死だった同じ民族間の戦争こそ、憎むべきは隣人である、と身近な者に向けられた憎悪により行われた小さな小競り合いは、やがてエスカレートし、抑えられない怒りに変わり、終わらない戦争へと転じた。子供たちを収容する監獄で鳴る金属音、不平不満を垂れ流す馬たちの蹄の音と夕暮れ、偶像崇拝を続ける大人たちが屯する酒場、不貞に興じる妻たちの産毛が金色になびく前衛的な快楽の荘厳さを嬲るための軽薄な普遍性が不衛生であるから、簡単に消費されるための世界との中立も守られずに、ただ争うことに転じる先々で転移する痛みが膨れ上がり、新たな星を形成するころには、絶えず犠牲を孕んで、懶惰な連中が支配する最中に訪れる政治的な不信感すら忘れるほどの暴力の構造、そのようなものが一体感を成して、すべてはバラバラなようで、すべては同じ今から吐き出され、すべては、同じ穴に吸い込まれては、金という排泄物が垂れ流れ、世界を汚したのか、と促す最後の哲学者は、産まれた時から狂っていたわけだし、どこにも正義はないから、と正義を捏造した悪意が跳梁跋扈する合間にすり替えられた愛がごまかす段階に現れた可能性にすら裏切られた、と嘆いてばかりでは、この世界の道具として、あるいは兵器利用され、平気に捨てられるだけに至るような間に破棄された思い出を拾い集めては、短絡的に消費されている日々の中で歪に成立する間に淫靡に結合したあたりから現れる光が貧寒なものを飛び越えては、手なずけられないように健気に捉える後先が宛先もなく浮遊して、何かの肥料かなにかに変わるまにまに、新たな争いは続くのであり、携えた怒りも新たな何かを独占するために毒されていくのであるからして、そこで指定されるものに抑圧されないように、よくある出来事になんか負けないように、とこの世界にある木の実を全部食べ尽くして、この世界を駆逐するとか、物騒な会話が聞こえる退廃的な夜に芽生える愛を紡ぐ。