昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

物質の終わり

よどんだ季節に浮かぶ真っ赤なトマトみたいな目をしている金魚、浴衣からのぞく宇宙が空間的なものを排除し、自らを哲学的に昇華させるために物理学を捨てる、と叫んでいる狂った夏の午後、蝉の声や、ゴーゴンの蛇頭、頭蓋を刺激する落雷のイメージが、なんかバッドブレインみたいだね、とハードコアパンクな連中が履き潰したスニーカーが転がる裏通り、林立するラムネや、景気の良い屋体などが並ぶ懶惰な日々、焦熱するためにニキビだらけの少年少女たちが遊ぶナイトプール、乱痴気騒ぎを繰り返していた若い日の僕ら、懐かしむことによりシミやシワが増えるから、月に旅立つ。悠久な詩に乗り、深まる詩的な耽美さにゆらぐ。前衛的な風がどことなく吹き荒れ、どこでもない今に憧憬を続け、つたない意思がたずさえるエゴ、ネットワークの発展により色んな人がその場で生きているようになり、誰もが制限なくその場で芽吹いては、さまざまな思いや欲を絶え間なく機械としてネットワーク間をさまよう迎合されるものの化身としての至らぬ君の悟性、正義感などはすぐさま覆されるべきであるし、ただよう意識が安易な答えに騙される前に、すぐさま逃げ去る。逃げることだけがすべてを超越するのであり、誰の言うことも聞かないことにより、強靭になる世界を多幸感のパイで包み、オーブンで数十分焼いた後に現れることごとくは、形式的なものを跳ね除け、愚かな退屈を蝕む法治国家の塀を突き破るほどの閃きで溢れかえっている。覆い被さる雲の布団、隙間から現れる感情的なものの浄化と起伏、複雑で幼稚なエゴにより完成した世界の中で傲慢なチキンレースを続けては、どっちがもっとも死に近づくかなんていう退屈で体系化された答えに乗っ取られた奴らの悲劇的なツールになんかなりたくもないし、角膜から生まれたルールをひけらかし、自らの正当性を謳う輩が用いる排外主義的な麻薬が降るあいまいな宇宙、奇跡的な春を着込んだ君の寝顔や、容易な陰謀論や神になんか囚われるよりも、スキゾフレニアな街で似合わない服を着込んだ孔子老子と対話しながら、しなびた意識を炒め、恬淡なままでノスタルジアをかき乱す清潔感も生活感もない私たち。f:id:jibmfmm:20210529080418j:image