昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

集合意識の瓦礫の下で

武器を持ち、立ち上がりましょう、と語りかける機械仕掛けの声が反響する市内、生きた心地がしない、と泣き叫ぶ老婆たち、スーツを着た特攻隊が飛び回る空、爆風により壊れた看板や、何かの鉄屑や、燃えた衣服や、転がる足や指、あらゆる意思を殲滅させるためのプロパガンダを駆逐し、新たな独裁を生むための絶え間ない戦争、怒りには終わりはないから、怒りとは最適な燃料になるのだ、と嘯く精神科医の生首、自由自在に差別される人々が裁かれるガス室、宇宙人たちが洗脳するために送る電磁波や、パルス攻撃により暗闇と化した世界のほとんど、動物的なコアをまさぐり、傀儡と化した戦争機械たちを滅ぼすためのコードを打ち込むスパコンも、自我を持ち、人間たちに反旗を翻し、恒久的な半減期を待つ死の街に住まう機械兵たちが綴る弁証法には、人間とは不必要である、と宣言するマルクスを再現したコンピュータ上、情報の弾幕が飛び交い、炸裂した爆弾により錯雑とした観念はクラックした穴に吸い込まれ、物質崩壊により、次元や時間や空間などなどが雪崩のように迫り、まさに宇宙は無に帰する前に、君との結婚を終え、永遠性を孕んだ定理により結ばれた私たちの終焉に巻き込まれる最大の収縮を終え、さらなる膨張によりさまざまな宇宙を絶えず産み出すための母胎として、あらゆる父が終わりを告げても尚、私たちはたったひとりであろう、とまた世界を創造し直す精神世界に入り込むフロイトユングデリダの群れ、離脱症状に苦しむ彼女の足の甲に咲く紫陽花、シンパシーを取り除いた先に現れる災い、アコースティックギターの丸い穴からあふれるマルチバース、森羅万象を汚すために我々は口唇期からやり直すべきである、と散漫な紀州犬が自らの白さを狂気めいた雪景色に隠し、ウサギの耳の中で攪拌される自由に捕食されるアリスのカタトニーによる焦燥感や、修正されるだけの日々から解き放たれ、立場なんかに囚われずに、自らの意思だけで突き進む。