昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

泡立てた朝

 君は飲みすぎた抗不安剤により、新たな恐怖が生まれてくることに耐えかねず、仕事場から飛び出し、小人たちの群れが出迎え、意識を失いそうな過程が生み出すたまゆらの悲劇が散漫な街を結晶化させ、分断される未来を吸い込むブラックホールがくたびれた理論を措置し、あらゆる空白の中からきらめく思想を構築させ、ただ高いだけのビル群に加工されたハリボテの街をくぐり抜け、仮想空間のような、やさしいだけの音が流れる精神科のようなテレビの青い画面に逃げ込む。

 恒常的なやさしさが、この惑星を作ったのだ、と語るスマホの画面から現れる散漫な家庭により、私は屈辱を肥大化させ、普遍性というとりとめもないものにより、不安を実体化させ、自らと重ね合わせては、端的な理由すら持たずに、泡沫にそぐう価値に似合わぬ意味を嵌め込んだ綺麗なだけの指輪により契約は強固なものになり、より現実味を帯びてくるころには、自らのコロニーは憎悪に支配され、区域に分けられ、食い込む費なんかが、何かを決めかねている間に曖昧になる未来は、自分たちの儲けばかりを優先することにより衰退し、見窄らしい価値が搾取するあたりから、しりすぼみになる私たちの尊い未来も畜殺され、定めもなく彷徨い続ける素朴な君が思い描いた大切なものすら体系化し、体制側に偏る君の切片からこぼれるストロベリージャムのような血、幼稚な土地の奪い合いが簡素に続く満たされない日々から加速していくものが、この宇宙を次々に押し広げて、革命的な所以にからまる動機がはしたないものを延々と遡及させ、この広大なだけの宇宙なんかを作り上げた。カクついた豊かさが場面を少しずらした。あらゆる過激な理想が報復を繰り返すあたりから、幸福というものは、誰かの道具と化した。ひとり歩きする偶然も、知らぬ誰か、とぶつかっては、自分の正しさを示すばかりで、自分の愚かさに気付かずに、世界と名付けられた名ばかりのものを信じ込み、あたかも自分は生きているなどと過度な期待を孕んでは、ランダムに消費される日々の中で、次々と勘違いを孕み、完治しない苦悩に引き摺り込まれていく。

 乱立する風景にかぶせる襤褸な妄想のセーター、短絡的な道理からしあわせの隅を突きながら、空虚な時間を捕食する。

 あらゆる返信を無視して、あてがわれた同期を引き剥がすことにより、ネットワークが生み出す粘っこい孤独から抜け出すために、あらゆる理由を遮断し、閉ざされた世界に光を与えるために生きながらえている。