昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

愛でるための夏

夏の浮腫んだ雲、ジリジリと騒ぎ立てる直射日光と、さわがしいだけのセミと虐げられた君、傷だらけの数々の歴史に圧死した彼女の髪の束、紫煙にからまる蒸し暑い夜の月、君の爪の青と、見つめ合うほどに距離もなくなり恋が愛に変わるまでの時、白々しくなってしまった夏の終わり、夏を何回愛でたって、めでたしめでたし、とはならないし、永遠の誓いなんてものは、すぐさま破られるだけの偽りの契りであるし、徒らに消費した時間の中でふくらむ誇大妄想の風船に乗って、どこにも辿り着かずに、ただ彷徨うことに重きを置いた私は、趣ある瞬間に轟轟と靡く風に引き寄せられ、あてもなく彷徨い続ける。悲観的な奴らが蝕む蒸し暑い朝から、大気の厚みから抜け出せずに空回りする日々、歪な帰路から生じる所以から加速する動機が加速して、今に言い訳がましく絡まる月日が追憶を虐め、陰鬱な焦土に現れる観点に噛み付く消費的な彼女たちの亡霊、やましく疎ましいだけの彼らの嫉妬心に裁かれるだけの偉いだけの人々、品位なんてものすらない拙劣な私と卑下したところで何も変わらずに、関わるほどに対価を求められるだけの惰性な関連性に連動していく季節に食い込む曖昧な進路や、そこかしこでそそくさと飛躍して、生じる言葉が羽ばたいて、たじろぐ瞬間に収容され、生じる所以が不安感などを促し、奪われるだけの動機に堕落しては、フラクタルであるほどにふやけて同化していく夏の虫や、逃げ場を失った家畜たちや、くたびれた風景に訪れるたびに現れるメタファーなどに折り重なり、ローリングしていく意識は逍遥し続け、けたたましく唸る彼女のいびきや、淫靡な結末に結合していく精神的な馴れ合いにより嬲られる世界の終わり。感情的な子供たちの背徳感に刺さる衝動がうごめき、ミシミシと唸る家々、この欠落した世界の心音。