昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

行進し続ける生命

物事をひとつの風が束ねる。生きるとは風のようだ、と歌う彼のしゃがれた声、マスクを少しずらせば、香る夏の匂い、仄かに隊列した同じの国の兵隊、収斂されるいじらしい記憶に清々しい所以にからまる爽やかな風、歴代の恋人たちのスタッカート、乱立する世間体の空腹、複製される真実が消費する過去、枯渇する主観に嵌め込まれる憎悪、横溢する瞬間に終焉する命、この悲しみはいつかの喜びを獲るための猶予である、と嘯く奴らの正義や信仰などが、ニセモノの神を生み出す間に淘汰されるものが問いただすことなどは、所詮は世界からしたら小さな悩みではあるが、数の暴力などに短絡的に促され、法則的なものに拘束され、行動が取りにくくなるあいだに曖昧に示唆され、支配されるだけに至るような奴らから解き放たれ、怠惰な悲しみには染まらずに、君のそばかすから夢があふれ、世界線を踏み荒らすニキビだらけの連中がくさす夏に塗布される痒み止め、メントールのツンとした匂い、現れる入道雲と、それを目指す動物たちの足音、応用されるための世界の時系列や、数多の苦しみを利用しては、安易な憂鬱へ誘う彼女たちの牢獄、死んだ内臓が踊りだし、退嬰的な子供たちが大人になり、何も新しいものが生まれなくなるように足を引っ張り、情報に左右され、さらなる苦しみを自らに組み込むあたりからくさす者たちが真理などを謳い、絶えず引き込まれる悲しみに引き摺られる。