昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

いつまで経っても何にも変わらない

薄皮一枚のオゾン層ガンマ線が降り注ぐ最後の夜、虫けらたる人類の負け犬の遠吠え、女々しいミリタリズムにより破壊し尽くされた街並み、瓦礫からは懐かしい声が絡みつき、今にしがみつく人々の死と密着しても尚、自らの死の実感などは感じられずに、瞬時に弾け飛ぶ。バンズの靴と宇宙の辞書、それが最後の武器である、と語る最後の恋、堕ちた天使である私たちは、とルノワールによる絵画的なニセモノの幸福によりカタルシスに至る思春期の回路、施しなんていらないぜ、と強がるハードコアパンクスたちの蒸れた匂いにより発生する苔によって、人類が終わった後にも新たな生命を生み出すための起源やコードなんかを隠して、気のフレた午後と太陽フレアにより燃え尽きた星屑の数々と仮数虚数と虚構と虚栄、短く切りすぎた髪とキリギリスが飛び交う満月の夜に現れる発疹、働きバチや働きアリは、なぜ働いているかも考えずに与えられた仕事をこなすことだけ集中しては、自らを見失ってばかりいる。そのようなこともわからずに愛を語るというのは、何か間違っているようだね、と笑う君の裏に潜む憎悪、想定されるよりも醜く歪んだ社会や世界などには、ほんとうの空なんて現れないんだ、と私、珈琲の海に浸かる羽虫の最後の声、焼け焦げた切れ端には愛しているだのという文字、集約された記憶がはじけてまた始まる宇宙、帰路なんて初めから無かったのだ、とうなだれる世界の希望になるために、ためらわずに世界をまた形成し、微生物からまた始めて、もう争いなど無いようにね、と歌うハーピーが飛び交う頭上では、遥かに無知である私たちに報いなどは不必要であり、あらゆる変化を受け入れ、今に経過していくものが新たな物語を形成して、もう何にも届かなくなって、何かに成り代わる前に何かの代わりになんかになる前に、私たちは瞬時に消え去り、そこでの思いなどは、無かったものにされるのであるが、そのようなニヒリズムにも屈さずに、屈託なく笑い、すべてを投げ出す勇気が今を超克する。