昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

朝帰りの秘密

圧縮された過去から、くすんだ春がころがる。軌道修正すら忘れた石たる私は、裁縫を終えて絆創膏だらけになったフラクタルな指と、敏感で煩わしいだけの青春の代用品たる文学的な逍遥と、その文学的で紊乱で瑣末な言葉の間に現れるアイロニーや、その場で工賃を支払い、最後の賭けに出る小さな町工場の片隅で、イデオロギーなんかを育てても、ひたすら偏りしか生み出さないし、打算的な彼らの間で交わされる言葉の濁りのようなものが許せないから、とケロイドを抱えた彼女の法律の中では、善と悪は両成敗であるべきだ、というジレンマに未だ未だ苦しむ限りであると、翳るだけの居心地が悪い粘膜の裏庭、廃材を集めて出来た新居、ふたりの愛の巣に訪れるアンチテーゼや、諦観などを歌う古臭い鳥たちや、大気圏からこぼれるガンマ線バーストや、モルタルで囲われた木の悔しそうな顔、震える葉の音や、翼をばたつかせ帰路を急ぎ、自らの羽ばたきの音だけが一定の距離を保ちながら、延々と符号が自らの位置関係すら放棄し、ただバラバラのような音が、不恰好にとびまわる放課後に差し込む乾電池、価値観も地殻変動を引き起こし、隆起した意思が次々とバンダリズムを加速させ、あらゆるリズムが崩壊し、恒常的な結末の中に含まれる悲しみのようなモヤモヤが敷衍し、曇天を作り出し、ポタポタと雨降らすまでの虚偽にまどろむ。クラス替えを終え、行燈と踊る野良猫たちの尻尾を見ながら、酸欠気味の模型のような世界を捨て去り、サラダみたいな夢の中で偽装された信仰心に、定めなんかを決めつけられる前に、健気に裏切り、派手に君を愛してみたいと思う。