昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

境域

文字の段落に生えるキノコ、名前もわからない日々の彼方で加担している戦争の鼓動、あらゆる悲劇をひけらかして、ゆさぶられる人々の憎しみ、期限が決められた命の中で、私たちは爽やかな春風をあびて、日々の風邪を癒すのです、と触れる記号の奥底にそなわる悲哀のようなものがもたらす悲劇を蹴散らし、君との永遠性を確かめるための契りを終える。たゆんだ結婚生活、欠けた精神がころがる廊下、器官的なテレビから放たれる言葉が、鼓膜をつきやぶり、脳内の回線を混濁あるいはショートさせ、些細な狂気を孕んだ血の味をたしかめるために、君をなごませ、あるいはうそぶきながら、長らくの窮屈な身体が孕んだ意思のようなものの至福、罪もなく撃ち落とされる鳥たちの季語、ふくらんだ果実をランダムに消費しては、拡大していく貧富の差を諭すことも出来ずに、何かを押し付けることでしか、心の平穏を保てぬ君が時間から乖離していく。寝ずに愛を語り、気配を拡散し、見つかりにくくする方法を探る機嫌の悪い太陽、体温調節もままならぬ先では、詭弁が大流行し、真理などを羽化させ、分散される意識は、さらなる喜びを伴侶にして、ニセモノの余韻や、インタラクティブな因果や、形跡を詰る屈折した機関の捕囚として、荘厳な思いの波形や、能動的な高揚感や、恒常的な憎しみを翻し、貧相な過去をまさぐる間から、軽快なリズムが生まれる。不満などを撒き散らすウイルス、世界終末時計がカチカチ鳴り、倫理観も死滅して、意識的な緩和を目指したいが、依然して、誰かは誰かの中で怠惰なままであるし、所詮は守銭奴たる私たちは、足並み揃え、世界をひらたくして、社会を新品にして、また同じように汚したり壊したりを続けるために、遺伝子的な凶暴性だけを加速させ、意思に枷を嵌め、奇跡の中でがんじがらめになり、肝心なものすら見失う。