昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

空席

あの鳥も、いつかの君に似た匂いを撒き散らしながら、嫌いな歌を垂れ流し、瓦解していく風景を大事そうに見ている、類似品たる私たちの荘厳な結末を憎む彼らの論争、皮肉を翻すために夜が来て、凍てつく君の衝動を抑えるための呪文を唱える。天に手を伸ばし、何かをつかもうとする木々たちが語る、「慟哭に瀕し、共感性を破壊された長い間に捕らえられたアイオーンを救うのです」強制的な配慮により巻き戻されていく日々たち、トナカイに乗ったリスたちが示す差異により苦しむキルケゴール、内心に沈む夕日を捕食する猜疑心にすれ違う思いの端々、「君が忘れても、私が忘れなければ、君も覚えていると同然である」とカタルシスに至る原理的な修羅を格納する俊敏性、記憶の外にある起源をまさぐる手、快活な動機を吸い込むストローや、すべての軋轢に重なる深淵からの愛、たちまちに司るエゴを回転させ、麻痺する頭で、構造的な苦しみを吐き出す車のクラクションがうるさい午後、狡猾な連中が仕向ける憎しみを無視して、現れるセオリーが複製する胡散臭い激情による麻疹、凄艶な隙間から現れた荘厳な曙光、恋路に住まうエゴを昇華させ、極まる思いが溌剌としていき、いつかも苦しみも、思い返せば、なんてこともない事ばかりが突き刺さり、身動きがとられなくなったり、途端に硬直して、ここでの思いなどは、どこに帰り、どこに居着くのか、と、換算し尽くす先には、空洞ばかりが出来た空間が、とか、前後左右だとかを、消費し続ける哲学的な証拠を吐き出す口を縫い付ける医者の手を眺めながら、漂う意識は、儀式的なことに利用され、ことごとくの答えを圧縮していく。