昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

健気な風船

手に入らないものばかりだし、手にしたところで何にもならないし、過去を引きずって、じっとしていても仕方ないし、進化の過程なんか知らないし、深海魚みたいに暗い宇宙で嗚咽しながら、銀河団をにらみつけて、道草食って、屈託無く笑って、せっかく生きているんだ、値も何もないし、幼気に愛しても尚、宗教なんかが邪魔するし、ますます慢性的な痛みがぶり返すし、復活の儀式なんてありもしないし、死んだら終いなんて意味がわからないし、わかったところで逃げられるわけもないし、わけも分からないままに過ぎ去る日々は、対価かがなんだとうるさくつきまとうし、何をするにしても制限ばかりで、自由を持ち出しては誰かを支配してばかりだし、しあわせにしますって誓っても離れていくばかりのこころの空虚さに嵌め込む愛すら持ち合わしてないから、すぐ裏切るし、傷つくのが怖いから、傷つけてばかりだし、命とはいくつもあるらしく、お目当ての世界で何度も再生され、再現されるらしく、同じような日々を何度も過ごして、君にまた出会って別れて、また違う人とすれ違って、君にまた出会って君じゃない人とも、何度も何度でも出会って、傷つき傷つけて、健気に裏切って、キリがないからって、関わることはやめないで、何かを変えたくても、変わるはずもなくて、すべては決まっていて、徒らに日々を過ごしても、忙しく何かに突き動かされても、すべては受動的なニヒリズムに支配されている的な仏教的なサイクルから逃げ出して、堕落して風船みたいにふわふわ浮いて、どこに行き着くわけでもなく、延々と浮遊し続ける。