昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

迎撃すべき罪

洗いすぎてちぢんでしまったセーター、いたたまれない血を流す子供、虚空をなぞる老人の指、浪費的な彼女たちや、彼らの動機が猛獣のようで、無償で愛したものすら退屈に包まれて、体系化したものに引き込まれて、憂鬱から逃げるように夢うつつな今に飛び回る羽虫、スタッカートに隠されたプレゼント、撹拌される理念や、昨夜に隠された意味を吐き出す声や、飛沫を恐れる時代の悪阻、凡庸なラブソングが流れるハリボテの楽園、奪い合うためにためらいもなく争う刹那、愛は有効なものを失い、ないがしろにされた思いが遠くで破裂して、馴れ合うだけの日々のミニマムなファシズムにより、オーガズムに至る大人たちの衝動が律動して、立体的な音が家を建造して、眷属たちがうごめく修羅と霞むアイロニカルなセンテンスが引き摺る余韻や、引用されるだけの日々を束ねては、ねんごろになるために、私たちを燃やすために出力をあげるレーザー兵器、ニヒリストたちが仏教的なものに没落するころ、このつたない永遠と付かず離れずなままに孕んだ静謐な思いが集合しては、手なずけられるための合否に揺れ、悠遠ではとめどなく弔いを羽化させる鳥たちが迎撃され、生殺与奪なんかを謳う教室の重たいカーテンが、夏の分厚い風で生きてるみたいに動いていて、誰もが聞いていない授業の片隅では、スマホを隠れてながめては、いいね、と和むしあわせも時折に折り重ね、かさばるだけの思いが画面を手垢まみれにして、支配されては、そこでおとずれるものがだんだんとずれていく関連性を超越するために、私たちは、誰の言うことも聞かずに、高尚なものに移行するための脱皮を繰り返し、自分が踊りたいように踊り、自分の飛びたいように飛ぶだけであるし、あらゆる意味をつむぐ観念が泥濘に嵌る前に、このバビロンのびらびらな襞に捕まえられて、身動きがとられなくなる前に、ドレッドヘアかなんかにして、価値観を崩落させるための自由や愛なんかを難解に消費しては、晦渋な文明を泳ぎ切る。