昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

備蓄

タマゴの黄身みたいな月。捕食者たちが徘徊する夜の繁華街。そこで枢要とされるのは、誰かの私怨であると、神に見捨てられた女がカタルシスに至る原野。厳寒な冬の爪先に立つ夢。悠遠に咲き乱れるニヒリズムや、妊娠している地球や、帰巣する心理が、退行していく意識的な汚穢が氾濫し、ギトギトになった心は、からからに乾いて、加算されるだけの動機にまとわりつくウサギや、金銀財宝で出来たビルが流星群に撃ち抜かれて、世界の子宮につつまれた君のマンションからは、優しい家族の匂いがただよい、懐かしい感覚が淡々と過ぎ去る日々。白夜では、精霊が踊り、美しく鳴く鳥の故郷に敷衍していく美意識的なものが夜を反芻するから、夜は来ないのだと告げられ、身滅ぼす彼女の、狂った表情からあふれる天使みたいな笑顔や、盛りのついた猫が叫ぶ余韻がインタラクティブなものを創造し、そこかしこで補完される愛に気づいた私は、みちびかれるままに森に消えゆく要因が綺麗に咲き乱れ、羽化する記憶が無重力状態になり、空間をさまよいながら、ささやかな愛をほころばすためだけに、嫉妬心に悶える人々のツールになるよりも、有する価値の犠牲になるよりも、有益な情報に惑わされるよりも、より良い価値を自らが生み出す。ガンマ線バーストにより散り散りになった身体を集める亡者たちがからまる先々。終わりは始まりに噛みつき、延々と同じ道筋を渡るのだと語りかけるニーチェの爪痕。合わさる時は整合され、厳選される時折に交わる言葉がアンニュイな雰囲気を醸し出して、未熟な今に想起する帰るだけの事柄を超越し、演じるだけの君を切り裂く。