昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

慟哭する世界

不埒な彼女の偶然を食べるヒグマ、号哭する主観から擁立していくファルスのような木々、たわわな嘘が売り買いされる株式市場、端末化した脳に直で接続されたスマホから垂れ流される快楽物質により、私たちの海馬はスポンジのようになるのだ、とうそぶく脳科学的な抗弁により、行為そのものが罪に汚染され、おぞましい妬みや嫉みに猫のように丸まって眠り、致し方ないことばかりである、と言葉足らずではあるが、この場では延々と愛のようなものが恒常的に生まれるのであるからして、支配されることにより増していく快楽の奴隷になんてならずに、どれを選らんでも、どれかはなにかの支配により位置付けられては、健気さを損ない、さわやかな風に毒されては、独裁的な夏の風景に毒され、滔滔と現れる問いが引くウクレレの音に乗って、この治らない風邪がもたらすメランコリーを昇華させるために、白いスウェットを着て、規律なんて無視して、クーラーの効いた部屋から飛び出す若者のすべては、すべからく術を喪失して、もともとある正しさを強引に引き伸ばしては、合皮製のパンツなんかを履きこなしては、小洒落たジャングルを旅する瞬く間は、まったくもって曇るだけである。積み上げられたミステリー小説や、黄ばんだ漫画本、ホコリに塗れた白いラックには、亡くなった犬の写真、ちりばめられたメタファーを閉じ込めた錠剤や、錠前に詰められた黄色い花、アナグラムを攪拌して、さらにヘルダーリンの塔暮らしの孤独を煮詰めたような老いた愛が降り注ぐ夏の夕立、花火の端の房を摘む君、スマホを触るリズミカルな指、夕日が沈み少しだけ静かになる部屋、筋書きに反して、多目的に他者を見繕う目という目が氾濫する繁華街、乱立する数字を詐取する紙幣や貨幣の傀儡、論理のすり替えを続け、手すりがない階段を不安そうに登る退屈なエゴイストの証人たち、無辜と無碍、あらゆる焦熱からの解放、そのような物質的な伴侶や、記号との別れにより、より身近に感じられる自己、はびこる意味が追記することにより加速していくバビロンの供儀としての役割を果たすたむの市民、バロック調の景色に、ニヒリストたちの血、あらゆる弊害を乗り越えてから現れる明朗で軽快な歩み、濫觴する物事に統合される情景に捕獲され、散漫な構成を捉える矢先に神々しくむすばれた奇跡がさえずる方へ逃げ込む道理に林立する怒りを論文化し、独占欲が屠るあいだから普遍的な称号により、私たちは名前の中に閉じ込められ、名前の中での役割を果たすためだけに退屈な理由に照合する所以なんかが、かりそめの自由なんかを生み出し、その自由を奪い合う戦争に利用され、あらゆる独善的な手法により、奪還される権力は温もりも知らないから、誰彼構わず批判し、自己否定の先に現れた捉えようがない憎悪に征服され、複製され続ける誰のものかもわからぬ思い出の中で屠る。