もう夏かな?と呟く彼女の口の中での小さな宇宙、待ち人のサロンパスの匂い、感受性豊かな和毛、生活感あふれる抜け毛、ゲームみたいな現実と、この現実という天国の中に転生し続けることにより、遺棄された感情が事実をも超過し、加算されることごとくを照らす月光の淡い光により、新たな意識を嘲笑するだけの小賢しい自己との決別を終え、恍惚としている先々で労りを謳う自堕落な者どもがけたたましく叫ぶことにより唸りをあげる心音と、数多の言葉がぶつかり合う楽器のゃうな思いが今日を乗り越え、自らに制限を与えるだけの上っ面なものに反旗を翻し、敏感で聡明な君の凄艶な時に織り込まれていく今が模倣を続け、飽和されるための物語が似合わぬ過去を着込んでは、いびつな意味を位置付ける君の脳内で決定づけるものにより抑圧される世界という、世界とは、誰かによりよくあることのように決めつけられたものにより操作され、よくあることのように片付けられ、強要される事柄に関与するほどに、すれ違い続ける物事が擦れ、燃え尽きてしまうだけの愛に関与するほどに廃れていく私たちを咎め、嬲る過ちを監視し、がんじがらめになるだけの忌々しい結論に迎合されるだけの定理に基づき、軽薄な論証の彼方で和解すら出来ずに引きこもり逃げても良いではないか、とその内部で育てる怪物や神を愛するほどに世界と乖離してまで、創造的な進化を続ける朗らかで幼稚な現在に錯乱し、錯雑とした思いの住処で波及し続けるパンの匂い、ロールパンにくるまる猫の喉鳴らし、キッチンから降り注ぐ感謝の雨、目玉焼きを作るパチパチした音。風鈴の鳴る音や、君の指先から現れる飴玉、なぜ苦しむことが正義のように語られるのか、と簡単な操作に巻き込まれ、凡庸な価値に娶られ、生きるとは稼ぐために苦しむこと、と金言や起源に枷を嵌められ、生きることとは、得ることのために苦しむべきだ、と自分と同じように君も苦しむべきだ、と騙るような連中が足を引っ張り合うような形や価値のあちこちでは、恨んだり羨んだりと疎ましく、ただ私は清貧に静謐に描きたいが故に想いを焚べ、世界という退屈さを燃やしているのであり、歪な信念がもたらす物足りない自分との区別や差別の中でのカタストロフや、ロスとしていく忌々しい自分との決別や、決裂していく大地にサインインし、因果に反し、何度でも再生し続ける高次元での理に折り込まれていく生と死を乱反射し続ける古代からの鏡や、乖離していくほどに行き先とは際限なく分かれては穿たれ、そこに埋められる分だけの運命や規律や史実を切り取り、変幻自在に時代を変化させ、ブレイクスルーした意識は、宇宙と呼ばれる空間や次元というものをも超越して、この命とは永続的な支配に取り残されているだけであり、何かの虜になり、利己的な支配により、諦観させられているだけであるが故に、それに反発し続ける私のような異物感をもぎ取り、ぱくぱくと頬張る先では、女々しく吐き続けるつたない自分との結末に吐くものすら無くなり、ただ空疎な床を眺めては、延々と空間を高揚させ、新たなものを定量化させ、陽子に埋め込んだ愛を宇宙の終わりが来るまで旅させる。