昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

業火

鳴いてばかりいる君たちの犬、息吹くための命も息吹き返し、陰鬱な症状に呼応する虫けらたちの残虐性を描くフランシスベーコンの怪獣たちがさまよう心の中では、行方不明になった言葉が頼りない信仰心を仰いでは、熱情する意思の火花が点火して、フラストレーションを生み出し、宇宙という彼岸の中で和解して、わからぬままに関わる愛は、無神経なもので世界を逼迫させるし、おびただしい嗄声がうながす夏の欠如と空の曖昧な青を跨ぐ思いが乱立して、おびえる君の酩酊した深夜に既読される文面が羽化して、ネットワークの中で磔にされる。連鎖する共通性と、歯止めがない苦痛、とりとめのない話の中で往復する横柄な不満と不安、解釈を誤り、補充され続ける意味で溺れる大人たち、退屈な世界で履く窮屈な靴、ゲシュタルト崩壊した若者のたちのすべてにすべからく絡まるすべて、というメビウスの輪から連想される無限とローンの支払いに追われる核家族に降り注ぐ放射性物質、短絡的な宇宙に馳せる愛が抵抗を加えられ、簡単に消費される曖昧な差別化により便宜的な呪いをかける呪術師たちの群れ、虹色のサンダルを履いて耐えがたい夜を飛び越えて、空白の夜を超越して、あらゆる悲劇を超克する。拒絶された大陸を覆い尽くす黒い木、その黒い木には怨念がつめこまれている、と語る枯れた老人が彷徨う大理石で出来た山を越えて、エーゲ海が見渡せ、折り紙の鶴が降る朝、プラモデルの街や、推敲するほどに老いていく過程から、あいまいに堕落する私たちの術が境界を無くすために働きを加える。大気圏まで届く孤独なんか瞬時に飛び越えて、求められるほどに現れる苦痛なんかを書き換えてく。マイアミに降るブラッドオレンジの果汁、夕焼けを見て吐き続ける彼女の赤い目が果汁や夕焼けと同じ色をしているものだから、物語がガラクタになる前にフラクタルになる瞬間なヌルヌルして、世間体が持つ悪意を滑らして遠ざけて、迎合されるための傲岸不遜で閉鎖的な村社会を越えて、不吉な予感が定めるリベラルな思考なんかが謳う自己肯定感なんかが胡散臭く感じるし、そこかしこに軋轢を携えて、耽溺する人々との結び目をほどいて、頓挫するだけの枢要な秘密を貪る良識すらない荒んだ命が無意味さを加速させるための管理下に置かれ、応用されるための真実がためらいもなく迫り、狭いだけの粗末な日常が与える苦痛を引き延ばすだけの悲観的な物語から逃げ出す。