この汚い命の根本、誰にも語られることのない朝に飲むミルク、南無阿弥陀と騙る銀河的な憂鬱を抱えたモラトリアム少女たちの十代の終わり、膝から現れた太陽や満月的なデタラメさにより、この世界は編み込まれたのだ、と婆ちゃんがカタルシスに至るまでの錬成、俺は大丈夫なのか、とナナフシに語りかける森での会話が胎盤を剥がすまでの距離を示すために使われる山々の怒り、紊乱な刹那にぬいつけられた面影を詰め込んだルイヴィトンのカバン、ゲシュタポたちがうろつく繁華街をぬけて、童謡が嬲る商店街、ダストボックスから生まれるゾンビや、ビジネスライクな言葉が飛び交うヘゲモニーなんかを蹴散らし、ここでの喜びとは、誰かに操作されずに、君が躁状態に至り、視野角を攪拌させ、グラつく風景や、ラグが生まれる今に不当なものでいっぱいになるの、と多弁に至るまでの衝動を伝える脳内のジュラ紀、均等な導きにより私たちは確実に狂ったのに、グルーミングしてくれるネコの舌のざらざらの砂漠、最たる意味を組み込む畜生の群れたるネットワークの練度、乱気流に乗って、この命を賭して座標を破壊して、はびこる悪意をランダムに消費して、エッグタルトの上で踊って、すくない手当を全部酒で無駄にして、軽薄な論理を漁る奴らの自己啓発的なものに怪我させられないようにして、自己陶酔型の奴等が自己顕示欲や承認欲求のためにバラまく無駄な写真を業火に投げ捨てて、芯がない憎悪とは、誰かを傷つけるためにしか働きを加えないし、芯がある憎悪とは、単純な偏りにすら気付かずに、誰彼構わず傷つけるのだ、と促す哲学的なものや心理学的なものに酔いしれている連中が示唆する正しさが恩着せがましく迫るからやかましい、と告げる私のこぶしのなかでは、この全宇宙をつかんでいて、この命のゴールを突き抜けるためだけの悲しみとは、私だけの悲しみであるし、私の悲しみは誰かの悲しみではない、と話の飛躍に追いつけていけない彼彼女たちはふるいにかけられ、いっさいは光の届かない闇に突き落とされる。