昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

おはよう世界

もう苦しまないでね、と、語る母親の隣では、爆撃が続いて、健気なあの子の笑顔も、粉々になって、散り散りになった思いや、やましい魂や、複製されるだけの永遠の陰影や、拒食症の犬や、陳腐な明日に告げる愛も、表面的なものばかりで、裏側では敵愾心に燃え、延々と続く思いの端々に現れる屈折した動機、ぶくぶくと太った季節や、逍遥する神話や、猥雑で幼稚な真理を撒き散らすだけの、堕落した世間体の中で攪拌される余韻や因子、悪魔の言葉を喋る鳥たちが飛び交う深夜、罵声を浴びせられている車や、柔らかそうなビルが出迎えてくれて、くたばるだけの私たちが過剰に摂取した夢、史実にからまる髪の毛、軽薄な余韻、歪な深淵に住まうデータを吸い上げる象の鼻、バジュラを持って暴れ回る神を尻目、凶暴になりすぎたラットたる私たちの世界などは、狭すぎるだけであるし、世界を世界として加工するような連中の王を打ち倒し、自らの世界を取り戻し、去勢された宦官たちが煽る権力的なものを超越し、支配的なものの影に飲まれずに、優しい高揚感に身を預け、静謐にゆらぐ、いつかの風を思い出し、携えた意味が花びらみたいに散るまでの自制。希望だけで包まれた、慎ましやかな瞬間、堕落した君も、いつしか不安は消え去り、ただただ、去り行くだけの理屈に妨げられずに、健気なままで、ままならぬ今を確かに愛するのです、と、語る彼女たちの背中からは、翅が生えていて、果たすべき理由も、この場では、頼りなく幼稚なギミックであり、今にぬかるみばかりが現れて、粛清されるだけの、忌々しい意味を超越して、分裂していくだけの、絶え間ない欠如を幸福にして、支配的なものの枷を外す。