昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

さよなら

君がいなくなってから、叶えるものすらなくなった、と、悲しみに暮れる彼女の後ろ姿、動機は、遠のくばかりであり、ここにあるものすら、不潔に感じるのだ、と、うつむく彼の心音、あらがうほどに現れる苦痛や、紫外線で溶けた身体、フラクタルな浄土や、憎しみを抱えたつがいの鳥、憧憬に瀕する形あるもの、あてがわれた意味の中でしか、実態をあらわさない昨日、複製された余韻から溢れる抗体、無責任な面影の端数、窮屈な会話が妨げる世界、情感を走る電車、様々な思惑が禍々しいね、と、つぶやく君の疎ましい現実、騒然とした悔悟の最中、裁かれた思いを間引きする集落、いぶかるほどに食い込む爪から流れる血、均等なものを補填する工場地帯、境涯に迫る運命的なものの末路、強固な精神が、すぐさま崩れ去るのを見てきたし、機械的な答えが及ぼす差異やら、悪意の底に溜まる退屈な人間たちの慟哭、彼らの道理は、正しいとされることにしか反応できずに、正しさを求めるがあまりに、正しさからは、かけ離れていくだけなのに、体系化した意味の中で、快活さを失い、ただ、短絡的に受け入れる価値に隷属し、意味の奴隷にカスタムするための教育などに、幼少期から気付いていたので、私は、知りたいことを知りたいままに受け入れ、自分の藝術のためだけに、学校には行かずに、枢要な価値を受け取り、確かさを足枷にせず、答えなどは、誤りだらけであるから、自分の正しさだけには、寛容であり、厳しくもあり、拙い一生を、自由に泳ぎ回ることだけに、この命を費やしてきたの、だ。