昇華

時間を超える意志的な憐れや戯れ

アルファベットの階段

寂寞にからまる蝉の鳴き声や、乱反射する光りの殴打、現時点に現れた青春のコードや、静謐な別れ側、がんじからめの恋人たちは、紛争に巻き込まれ、もう帰っては来ない恋人を待ち続ける夕焼けの濃淡、君の屈折した神が、雷なんかを打ち鳴らして、即席の理由や、出来合いの理由に寄りかかる憂鬱そうな老人の日焼けした皮膚、冷蔵庫から流れてくる一定のリズムや、利息ばかりを支払う日々の中で加速していく欲望とバビロン、そぐわぬ価値を謳うコマーシャルや広告の雨、前衛的な量子やカナブンの街、混淆した意識を絡めとる金剛杵、堕落した希望から湧く虫を食べる代償、豊かさのカルデラや、妄想ばかりに浸る模倣犯や、重要なものなどを詰る老獪な連中による徹底した支配、権力とは、もれなく自らの内側から腐り、厭世観をねぶる子供たちの舌も、青や赤に変色して、自らの罪を自覚する苦痛と、そこで普通だと思うような、共通的な苦痛と、通過していくだけの夜、光景は、確かさに縁取られた退屈な永遠を覆すことができずに、その場で駆逐され、跡形もなく消え去り、そこにあったはずの光景も、その場での永遠に飲まれ、身動きがとられなくなるし、君より早く走れば、すこし先の未来に行けることは明らかであるし、フェムトメートル先に進むことを積み重ねた永遠が、やがて君を追い越すころ、この宇宙とは、何で生まれたかを知る私は、宇宙的な座敷童子として、この世界と名付けられ、その世界に閉じ込められてしまった皆のために、幸福や幸運を撒き散らすのである。